Strikers Fire -If Story-
六頁
【早苗チーム】
「駄目ですね。私達の霊廟からでは侵入を受け付けないようです」
「うむぅ、どうするのだ太子!」
「落ちつきなさい布都、案じる事はないですよ。少々派手にやらないと無理ですねこれ」
「力任せってことですか」
早苗は神子達とどうこの中に入るかを話していた。
「回り道してみましょう。もしかしたら都合よく入口があったりとかすると……いいですね」
「いや、ないでしょ。普通に考えりゃ」
期待も何もない屠自古のツッコミに神子が「あー、ですよねー」と賛同している。
「ちょっと、あんたら何してんのよ」
「あ、霊夢さん」
「先に行かせてもらうわよー」
言うなり、透羽の首根っこを捕まえて結界を作ってワープする姿を見て、目を白黒させていた。
「おお、流石は巫女! 早苗殿も出来るであろう、そうであろう、巫女なのだから!」
「いえ、出来ません。無理言わないでください布都さん」
「なんと!? 出来ぬと申すか! ならば如何なる手段を用いるか……」
むむむ、と唸る布都を尻目にして、さらにもう一団。
妹紅を筆頭にしたチームが青娥の鑿で穴を開けて侵入する。そんなんでいいのか。
「青娥! アンタこっちの味方じゃ」
「あら、ごめんあそばせ? 私、今はこちらのチームですので〜」
「そういうこと。そこで手をこまねいて云々悩んでるといいよ〜」
「おー、そーいう事だー!」
「んじゃ、お邪魔しますっと」
一同が頷く。今ならあの青娥の開けた穴で乗り込めると。一目散に突入しようとした矢先にスペルカード宣言。
「超人『聖白蓮』!」
「なっ──君は、このっ!」
「大変申し訳ありませんが、出し抜かせていただきます!」
後続の寅丸達が入ろうとして、何故か寅丸だけは弾かれたように尻餅をつく。その隙に早苗が入ろうとして──やはり、同じように弾き出された。
「な、なんでぇ?」
涙目になりながら尻を摩る寅丸。その手元の宝塔が輝きを失っていく。
「えっ、ちょっと……これは一体……」
「……もしかして、ここ」
神仏の類を、受け入れない──?
「なるほど、そういう。なら分かりました。うん、帰りましょうか」
「えぇええええええ!? そ、そんなんでいいんですか聖徳王ともあろう御方が!」
「え、いいんじゃないですか?」
「ご自分の事なのにさも他人事のように!」
今回に限り、早苗達は無力なようだ。
「まぁ、ただ帰るだけ、というのも問題ですし。私たちは人里の方に向かい、民衆の不安を取り除こうではありませんか」
「あ、なら私も信仰集めに……」
「うむうむ、流石太子」
「あー、ちょいと。わたしゃやめときます。行くならお三方でどうぞ」
「そうですか。では屠自古、任せましたよ」
「あいー」
自身が亡霊であること、そんな自分が神子と共に歩きまわってはあらぬ噂が立ってしまう。それを危惧した屠自古なりの配慮だった。落ち込む寅丸の隣に座り(足は無いが)、屠自古は宗教上の敵である一味と同じ場所に腰を下ろす奇妙な事になっている。
「まったく、面倒な事になったねぇお互い、さ」
「え、ええ。そうです……ね?」
「あんた、妖怪なんだっけ。毘沙門天の弟子とか代理人とか言われてる」
「そ、そうです。寅丸星と言います」
「わたしは蘇我屠自古。見ての通り亡霊さ、まぁ置いてけぼり食らって落ち込むのも分かるけど、似たようなもんだしねぇ。暇潰しに付き合ってよ」
「はぁ……構いませんが」
そんな二人の会話とは別な方角から爆発や突風やらが吹き荒れて、むしろそちらの方が異変に勘違いされそうであった。
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