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Strikers Fire -If Story-
一ページ
「ファルド一佐、明日という日が何か知っていますか?」
「平日。仕事だ」
「駄目だこの人……」
「と言っても、今日はほとんどないけどな。非常事態でも起きない限りは各自休暇だ。で、クルヴィス。二月十四日がどうした?」
 このあまりにも生活観からかけ離れた常識はずれ(良くも悪くも)の上司に、柳クルヴィス三等陸佐は頭を痛めた。

「俺の故郷である地球ではバレンタインデーという日なんです」
「それはどういう行事だ」
「異性との親睦を深める為にチョコレートを贈る日です」
「なんだ、その程度か」
「……貴方、少しは女心理解してやりましょうよ……」
「俺にとっては、だ。女性はそういうイベントに参加となると全力尽くすからな。ある種のお祭りだろ?」
(分かってるんだか分かってないんだか良く分からないなぁこの人は……)
 外回り勤務に付き合いながら、クルヴィスはほとほと呆れていた。こうしてわざわざ隊舎から離れさせたのも単なる時間稼ぎだということに、果たして気付く……気付かないだろうと確信する。
 嗚呼、何故クルヴィスにチョコレートを義理ではなく本命を渡す女性がいないのか。答えは一つ、胡散臭く信用ならないからだ。



「機動六課ぁ、女性陣集結やぁ! みんなおるなー?」
 机の上に立ち、腰に手を当てていつになく気合いの入った八神はやてが呼び集めた女性陣を前に仁王立ちして見下ろす。まるで独裁者だ。今のはやてを見たらファルドは間違いなく怒る。それこそ先生のように。

「待ちに待ったバレンタインデーやバレンタインデー! 年に一度のイベントやでぇ!」
「はやてちゃん……凄い、気合いだね……」
「うん……」
 高町なのは。フェイト・T・ハラオウンは熱気の籠もった一挙一動に苦笑いを浮かべている。

「はーい、八神部隊長。質問よろしいでしょうか?」
「はいそこ! アルト陸士!」
「私達、仕事は……」
「あ? アホ言うんやない! そんなんとうにファルドさんが片付けとるわぁ! ……どうせ、どうせうちなんて役に立たない狸の置物なんや……って誰がちび狸の置物やぁー!」
「……主はやてのボケのキレがいつに増していいな、ヴィータ」
「だな……」
 半ば遠い目で自らの主を眺めるシグナムとヴィータ、シャマルは笑っていた。

「楽しみだわ〜」
「シャマル、おめーはよせ」
「医者が患者増やしてどうする」
「ひどいわぁ二人共……」

「──っちゅーわけやから! 本日限り、厨房はうちら機動六課レディースが占拠する! 野郎を誰一人入れたらアカンでぇ皆の者! 思い思いに思う存分、今日はチョコレート作りやぁあああ! みんな、張り切っていくでぇー!」
『おー!』
 機動六課レディースの初任務は食堂、もとい厨房の制圧及び占拠。第二目標、素材調達。あらかじめ用意しておいた物を各自の手元に渡す。

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