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Strikers Fire -If Story-
二十七ページ
 午後十時。いい加減寝苦しくなってきた。
 眠気など死滅している。今残っているのは指を動かすのも億劫な疲労感と耳から入ってくる情報への殺意と怨恨くらいだ。

「ちょいトイレ」
 スロウドがすかさずトイレに逃亡する。廊下は非常灯が点いているので足元は見えるようだ。

『ポエムの朗読ってなんであんな恥ずかしいか知ってるかねワッショイ君』
『全国のシャーロックホームズに土下座してあの世で詫び続けろ!』
『私は生きる!』
『くたばれよー!』
『シンジャエバインダー!』
『お 前 が な!』
『貴様ぁ……ヒドヲォヂョグッデルドブットバズゾ!』
『日本語喋れ!』
『だが私は謝らない』
『張り倒すぞ!』

「スロウド遅いな」
「遠い方のトイレにでも行ったんじゃないのか?」
「なら遅いな。近い方のトイレは殺人事件現場だったし」
「お前らそんなとこで用を足したのか」

\デデーン! スロウド、“超”アウトー!/

「超!?」
 一体何があったのだろうか。
 廊下から爆発音のような物が聞こえた。スロウドが大爆笑しながら尻を押さえてその場に膝を着いた。

「ヒッヒッヒ、お尻とぽんぽんぺいん……! マジ……畜生……!」
「お前何があったスロウド」
「紅い狼と赤い番人さんからのライダーダブルキックもらった」
「……ケツ、大丈夫か?」
「痔になりそう……」

\デデーン! ロン、アウトー!/

 笑い泣きしながらも布団に潜るスロウドに、超アウトに何があったのか尋ねる。

「いやさー、遠い方のトイレいったんよ。そしたら白いワンピース着たリィズが「…………貞夫」って」

\デデーン! クルヴィス、ロン、ロイ。アウトー!/

「だぁかぁらあああああ!! ちっくしょおおおおおおおおいてぇええええええええ!!!」
「この企画者はクルヴィスさんになんか恨みでもあるのか……!」
 でも超の意味がそれだけだとは思えない。

「お前なにした」
「リィズにセクハラ働いたら何か超痛い目にあった。尻と腹いてーしもう散々だぜよ」
「こいつ追加でアウトにしてやったほうがよくね?」
「怖いこと言わないで!」

『エジソンはえらい人らしいね』
『そうですね』
『ワトソンは?』
『ホームズの助手だよぉ!』
『ボブソンは?』
『誰だよ!』
『サムスン』
『ンはいらない』
『エジソって誰!?』
『こっちの台詞だよォ面倒くさいなこの野郎おおおおおおお!!!』

 もうこの際、隊長の放送は終わるまでこっちで適当な雑談をした方がよさそうだ。大体消灯時間が九時とか寝ても仕方ない。
 本音は寝れないからだが。

「あの放送マジうるせぇな」
「いつまで続くんだ? 深夜放送って言っていたが」
「なら零時か、深夜二時までだな」

 後二時間から四時間近くアレを聞き流さなければならないのか……メンバーは途方にくれた。なんせ既に疲れているのだからそこまで気力が持つかどうか。

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あきゅろす。
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