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Break Force特別編:God Breaker
四ページ
 国防機関のしている事が無駄だとは言わない。
 自分の母親のしている事が無駄とは言えない。
 それでもスロウドは、言わなきゃならない事がある。自分を理解してもらうために。
 何故自分が兵器を作るのかを。

「物心ついた頃から両手に銃とナイフ持って、火薬と硝煙の鉄臭い場所で育って色々な戦場走り回された。生き残ったのは俺だけ。ガキのお守りとケツひっぱたいて育ててくれた隊長は死んだ。どこの誰が作ったか知らない兵器で。俺はそれで今まで生き残ってきた。顔も知らない誰かが作った武器で」
 そうして生きて──今の両親に拾われた。傭兵としての自分に、帰る家と着る服を与えてくれた事は生涯感謝しても足りない。

「もう正直、殺して殺されてなんて飽きた。武器持って走る軍隊なんて人間じゃにーよ、踊らされてる道化人形と変わりない。自分の手で兵器を作って、自分の手で武器を使って、自分の意思で引き金を引いて初めて人間だ」
 誰かの操り人形は御免だ。手の平の上で踊らされるのも断る。
 スロウド・マクウェルは自らが誰かの玩具でない証明に、産みの両親を既に手に掛けた。

「俺は人を殺す為に兵器を作る。その為なら魔術だろうが科学だろうが何だって使う。歴史に縛られた生活なんざまっぴらだ」
「……あー、もー! もー! かわいくなーい!」
 セレアは何度も繰り返し喚く。

「かわいくなーい! 全然可愛くないようちの息子はー! もー……なんでこんな風に育っちゃったかなぁ……お母さん悲しいよー……」
「にっひっひっ、すまにーなー母上。笑って許してたも」
「でも……」
「んにゃ?」
「私と旦那の、たった一人の息子だから。お腹痛めて産んだわけじゃあないけど……スロウドは、マクウェル家自慢の子なんだから、私達より先に死んじゃ駄目だからね! 分かったー?」
「イエス、マム! 愛してるぜ母上ー。リィズ、入って来ていいのぜ。料理冷めちゃう」
 ガラガラと台車を押して扉を開けたリィズは四人分の配膳と食事を並べた。
 本来メイドは主人と食事を共にしないが、スロウドはむしろそれが心苦しいので皆一緒に食卓を囲む。


「母上、ちょいと頼みがあるんだけどさー」
「んー、なによ?」
「ヘルハウンドの設計資料見せてくんなーい?」
「ダメに決まってんでしょー。国家というか世界組織の機密事項なんだから」
「頼むよー、ほら可愛い息子に自慢したくない? 「このバイク私が設計したのよ、どうよ息子凄くない? 私凄くない? どやぁ」ってな感じで」
「あぁーもーしょうがないなぁ……はい。って早速コピー機に掛けちゃう辺り流石私の息子だ!」
「うひひ、頭ぐりぐり撫でんのやめちくりー。昨日風呂入ってにぃのよ」
「えっ本当に? リィズちゃん、後でスロウドの事をごっしごし洗ったげて! 前も!」
「下も頼むよ!」
「……いつも、やってる」

「セレア様、スロウド様。ご自重なさってください。まだお天道様が見ています故に」
 この母親にしてこの子あり。
 血の繋がりは無くとも、蛙の子は蛙だ。

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あきゅろす。
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