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Break Force特別編:God Breaker
二ページ

 別れ際にスロウドが宙を舞い、いつもの分かれ道で解散する。

「あー今日はどうすっかなー」
「お兄さん仕事は…」
「んー、バイトは休みだ。最近顔出してないから依頼屋行くかぁ…今晩辺りにでも」
 リンファと今日の予定や夕飯が何か予想しながら歩く帰り道。マスターは最近自分が平和ボケしてきてるんじゃないかと若干不安になっていた。

「ただいまー」
「あ、お帰りなさい」
 何事もなく帰宅、パタパタとスリッパの足音を立てて居候のメイド、リョウカが玄関で迎える。犬耳がカチューシャから抜け出し、ピコピコと動いていた。

「うぃー、ただいま」
「ひゃわぁ!?」
毛並みの良い銀色の犬耳を撫でてマスターは部屋に荷物を置きに行く。毎度ながら気を弛めると耳が出てしまう癖は治らないようだが、むしろ治さなくて良いと思う。

 その後、いつも通りに三人で夕飯を食べる。今日のメニューはクリームシチュー。テレビのニュースは相変わらずBGM代わりだ。

「最近なんも起きねーなぁ」
「平和ですよね」
「平和なのはいいが、正直退屈だ。仕事あるか不安になる」
「無理はしないで下さいよ」
「はっはっは。多分やらない」
 断言は出来ない。曖昧なぐらいでちょうど良い。人生の小休止だ、少し位の休憩も必要だ。

──それでも、刺激が欲しい。

目が覚める位に激しく、意識が飛びそうな位に熱い刺激がたまに欲しくなる。ぬるま湯に浸かっている気分だ。

──刺激が欲しくて仕方ない

「ごちそうさま、んじゃ風呂入って休憩したら出掛けて来る」
 皿を片付け、リビングを出ようとした時、ニュースの内容に足を止めた。

『九番区画総務隊長ホーウェン氏が本日、WOTL本部から表彰状を送られました。その事について本人は「日々の業績に政府が満足してくれて安心している。今後も精進したい」とコメントしており』
「…ほほぅ?」
ニヤリと笑うマスターに、リンファが心配そうな表情を向ける。
 ホーウェンとは腐れ縁とでも言うべきか、昼夜問わず顔を合わせていた。勿論リンファも知ってるし、二人の戦いも見ている。

「お兄さん、ホーウェンさんにちょっかい出そうとか考えてますよね」
「そりゃな? 花でも贈ってやるか。あとつまらない物」
「普通に祝うならいいですけど」
そんな事をするはずもなく、マスターは出掛けていった。もう日は暮れて夜になろうとしている。




 同時刻。裏の住人達も活動を始めようとしていた。店の明かりは最小限に、廃墟を装い商売を始める。そんな中を歩く一人の女性がいた。
 蒼く、長い艶やかな髪を揺らし凛とした態度で夜道を歩く。黒いジャケットの腰から覗く剣の柄が二本、出番を待っていた。

 息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。徐々に賑わう裏路地の匂いはお世辞にも良いとは言えない。だが、嗅ぎ慣れてしまった自分が居る。足を止めて空を見上げた。

「…全然変わってないんだ」
少し驚きながらも、再び歩きだす。行く場所は既に決めていた。

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あきゅろす。
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