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Break Force特別編:God Breaker
一ページ

 ──春ヶ岬学園校門前。

 年中無休で桜が舞う一風変わったこの学園。冬には雪と花びらが降る珍しい光景もここでは日常茶飯事だ。
それに混じって、人が吹っ飛ばされたり、金髪の学生が愛車と共に宙を舞うのも、まあ普通である。

「さぁて帰るかー」
「お前は……」
 その元凶が目つきと態度と性格が悪い蒼髪の学生なのも、いつもだ。

「マスター、いっそのことスロウドを牢屋にぶちこめ」
「そうだな。生かして良い事なんかねぇし、あの児童ポルノ異常性癖資格所持伯爵」
「なげぇよ!? どんな資格だそれ!」
「え、まさか知らないのかロン」
「……知らない…のか?」
「てめぇ等……!」
あるはずもない資格を知っている素振りを見せられても大いに困る。拳を震わせながら、何とか怒りを押さえ込む。

「スロウド君、本当に丈夫だよね…」
「この前屋上から落とされなかった?」
「あぁ、ロイが関節極めて落としたアレか。まさか次の日普通に来るとは思わなかった」
 ティナとティシャも、さすがに慣れた。最早スロウドは『殴られても大丈夫』という認識で固まっている。そこに疑問を抱くのは何故か負けの気がしていた。

「それにしても今日はよく飛んだな…」
「自己ベスト最高記録は二十メートルだ。今回はどうだろなぁ?」
「そんなの測るなよ…」
「ちなみにリンファのスリーサイズは現在進行形で更新されてる」
「はぅあ、お兄さん!? なに言ってるんですかぁ、もぉー!」
「セクハラとか最悪ね、マスターは」

「セクハラじゃねえ。事実だ。現に去年測った体重が今は──」
「わー、わー! 止めて下さいよ本当に!」
「んじゃスリーサイズが上から──」
「俺、復活感謝祭! 三途の川の常連とかマジ勘弁なんだけどマスター!」
 チッ、という舌打ちが三人分重なって聞こえた。肉体的にも精神的にも疲弊したスロウドだが、パッと見れば完全に無傷。

「なんだよポイント貯まってお得だろ?」
「あー、会員登録してないからさー。六枚集めて無料サービスだっけ?」
「船頭に言えば入会出来るぜ。つーわけで、逝ってこい」
「ただいまぁべらす!」
 人体から発していけない音を発しながら再びスロウドが宙を舞う。この間僅か十分の出来事だ。

「いい天気だな…」
「そうだな…青空に人が吹っ飛ばされてなければの話だが!」
「晴れ時々馬鹿襲来注意報。近くの美少女は速やかに地下シェルターに保護者と避難して下さい」
「アイツは歩く放射能か……」
「もう隔離した方がいいな、社会から」
「砂漠に捨ててこいよもう……」
 呆れた呟きを漏らしてロンは心底疲れたため息を吐いた。一日中付き合わされる身にもなって欲しい。何回か無視しようと考えたが、そうすると訳が分からない会話に発展するので結局自分が止めなくてはならない。

「世の中理不尽だ。ていうかお前等俺に不条理押し付けんな!」
「だとよ、スロウド」
「これだから産業廃棄物は…」
「…えぇぇぇ…俺が何をしたってんですか…いや言わなくていいです、ハイ」
「生きてる」
「呼吸してる」
「死ねと!? 畜生もう嫌だこんな人生! 来世に期待する俺!」

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あきゅろす。
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