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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
一ページ
「…………」

目を覚ますと、いつか見た白い天井が目に入ってきた。

「…全く、嫌な夢見るな」
《おはようございます、主》
「ああ…」
胸やけしたように吐き気がこみあげてくる。
体を起こし、口を押さえて深呼吸。

それを数回やるうちに段々治まってきたので、ファルドは部屋を見渡す。やはり誰も居ない。

「……気分悪い」
 水でも飲もうかと思って医務室を出ようとした瞬間、数人の騒ぎ声が扉越しに聞こえてきた。


「せやから、彼の部屋はうちと同じ場所や!」

「はやてちゃん抜け駆けはダメだよ?ここは教導隊である私に任せて!」

「二人共、落ち着いて…ね?」


「……ケルベロス。今出たらどうなると思う?」
《確実に主の身に危険が迫ります》
「だよな……」

ファルドは何だか聞いてはいけない会話を聞いた様な気がして立ちすくむ。
外からの会話は段々ヒートアップしていく。


「む?部隊長殿達、集まってどうしたのだ?」

「あ、チンクちゃん。医務室で寝てる彼の事でね…」

どうやら参加者が増えてきたようだ。
徐々に騒がしくなっていく“医務室”前の廊下。


「ふむ、確かにそれは問題だな。ならば、姉に任せてくれ」

「ダメッスよチンク姉!まずはあたしが様子見して…」

「ウェンディ姉様も心配です。ですから私が…」

「む、ディード。姉たちが信用ならぬのか?」

「いえ、心配なだけです」

「なになに、何の話〜?」

「あ、セインちゃん。えっとね……」





「…………………あー。止めるべきか?」
《自殺行為です》
「…そうか…………」
 気のせいか、頭痛もしてきた。
ファルドは黙ってベッドに腰を下ろしてこめかみを押さえ、話が終わるのを待つ。

しかし、終わるどころか医務室前の廊下だという事も忘れて騒ぎは拡大していった。


「部隊長であるうちは彼の面倒を見る義務があるんや!」

「主はやて。待って下さい。まだ彼が安全だと決まった訳では…」
「そーだよ!だからアタシらに任せてくれよ。なあシグナム」

「あかん!それはあかんで!シグナムみたいなおっきい女性はもしかしたら襲われるかもしれへんやんか!」

「む…言われてみれば一理あるな。となると、ディードも危うい。やはり姉が…」

「あ、だったらアタシは?そんなでもないから多分大丈夫だと思うんだけどさ」

「でも、ナンバーズの皆が心配だよ。ここはやっぱり皆の責任者でもある私が引き受けないと」

「それだとなのはが心配だよ。だから私じゃ駄目かな?」

「じゃあボクは?無いから大丈夫だと思うんだけど」

「オットー、言ってて悲しくないッスか?」
「…少し」



「……いつ終わると思う?」
《恐らく永遠に終わりません》
「…そう思うのが妥当か。目眩してきたんだが」
《横になりましょう》
「あぁ…そうする」
 何だか疲れてきたファルドがベッドに仰向けで倒れる。
白い天井に、女性達の声がBGMとして追加されていて医務室とは思えない賑やかさだ。



「これだけは譲れへんからな!」
「主はやて!ですからもう少し冷静に…!」

「はやてちゃんは部隊長だから絶対に駄目!」
「なのはさん、私じゃ駄目ですか?ほら、いざって時はシューティングアーツがあるし…」

「それで余計に怪我が悪化したらどうすんだよハチマキ!」
「あぅ!考えて無かった…」
「それにチンク姉も心配だ。あたしの部屋で…」

「ノーヴェと一緒じゃ余計に悪化しそうッスね〜」
「あー、言えてる。結構怒りっぽいしね」
「という訳でアタシの部屋に決まりッス!」

「ウェンディ姉様。ですから抜け駆けは……」



「…………」
《あ、主…?》
ここでケルベロスがファルドのある異変を感知した。

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