魔法少女リリカルなのはLOST Battle
プロローグ
……十年前
――管理局本局・訓練施設
「…ふう。今日はこれくらいか」
「ファルド、お疲れさん。今から飯だけど一緒に来る?」
「ん?ああ、行く。少し待っててくれ、ロア」
「了ー解」
「…機動武装隊からのスカウト?」
「うん。オレとファルドの二人に来てる。…どうする?」
「聞いた事ない部隊だけどな、俺…」
「ん〜…なんでも、一級捜索指定古代遺物の捜索と、それを使った犯罪行為者に対して最前線で動く部隊…だったかな?」
「つまり捜索と犯罪防止の部隊か……。面白そうだ」
「じゃあ…行くのか?」
「勿論!正直、まだ先の事考えて無かったし」
「駄目だろそれ」
「だよな。はは」
「けど、入隊するための条件が幾つかあるらしいよ?」
「なら二人で頑張ればいいさ」
……それから二年後
「本日付けで時空管理局本局、機動武装隊の所属になりましたファルド・ヴェンカー二等空尉です!」
「同じく、機動武装隊へ所属になりましたロア・ヴェスティージ二等陸尉です!」
『よろしくお願いします!』
「いや、いい坊主達が来たもんだな。俺は機動武装隊一番隊隊長兼責任者の――」
……そして、四年後。当時十八歳の二人に知らされる余りにも酷い現実。
「……死ん、だ?」
「…嘘…です、よね。まさか……そんな…!」
「…残念だが、本当だ。例の事件を追い、その犯人に……」
「……そいつは……その野郎は今どうなっている…!」
「逃亡中だ。確保は正直難しい……」
「関係ない…そいつのデータ、ある限り渡してくれ!……隊長の…一番隊隊長の代わりに俺がその犯人を倒す…!」
「…ファルド。オレも行く……こんな事が、あってたまるか…!」
「お前達……」
「ふざけんな…ふざけんなよ…!三番隊隊長として!俺が行かなかったらどうすんだ!」
「機動武装隊の二番隊隊長としても、その犯人は許さない…許せない…!」
『だから!俺達が仇をとるんだ!』
……そうした、憎悪から受けた事件。
「お前が…!何で、隊長を殺した!」
「……」
「応えろ!…でねえとぶっ飛ばす!」
「……魔導師だった。それだけだ。貴様等は俺の両親を殺した…!それ故に許せん…!俺から、唯一無二の…両親を奪った貴様等魔導師という存在が…!」
「御託はいい…!俺達はお前が許せない……!お前が思う、魔導師以上に!」
互いに許せない存在。譲れない正義。
…命を懸けた事件解決。そして、余りにもあっさりとした形で決着はついた。
「…あんた……なん、で!」
「……さあな。だが、お前達の様な男は死なせるに惜しい……」
「魔導師を恨んでるはずだろ。なのに…」
「…正義を貫く者に負けた。敗者は、今生から去るべきだ……俺がそうしてきた様に…若き騎士よ、名前は」
「…ファルドだ」
「そうか…その名を、地獄で伝えよう。…真っ直ぐな瞳をした……強く、蒼い騎士だと……」
「待……!」
「…本当に守るべき者が居るなら心の剣を抜け、ファルド。その剣は、お前の誇りになる……」
「ファルド!急げ!もうすぐこっちも崩壊すんぞ!」
「ロア…!」
「なにグダグダやってんだ!行くぞ!」
「…さらばだ、戦友よ……」
犯人の死亡という形で終わったその事件は、二人の心に今も尚残っている。
それから、一年後だった。
「ファルド・ヴェンカー一等空佐!貴様自分が何をしたか分かっているのか!」
「それが分からない程馬鹿じゃない。俺の指示が甘かった。だから部隊が壊滅した」
「死傷者五十数名!行方不明者二十名余りを出しておきながら貴様良くもぬけぬけと…!」
「提督、彼も利き腕を失って生死の境を彷徨ったんですよ?幾ら何でも…」
「お前は黙ってろ。…俺のミスで…部下が、家族が死んだ…それに変わりはない」
…番犬の主が、変わったのは。
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