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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
七ページ
「すまないが、それは出来ない相談だ」
凛とした瞳と、確固たる意思と共にシグナムが騎士服を纏う。

「シグナム。まさか、ここで戦うつもりなの?駄目よそんなの。それに君も、まだ体が…」

「俺の体は後でどうにでもしろ。今は連中を片付けなきゃいけないんだ」
 シャマルの言葉をあしらいながらも、ファルドは足を進める。

それに伴い、全員の警戒が強まっていった。

「あの、シグナムさん」
「どうしたスバル?」
「えっと、戦う気が無いなら別に通してあげてもいいと思うんです」
「逃げられたらどーすんだよ」
ヴィータの一言にスバルが悩む。そのやり取りにため息を吐き、呆れながらもファルドは進む。

「…だったら見張れ、ベルカの騎士。逃げようなら背中からぶった斬れ。だから今はそこを通せ!」
「…………」
 それでもシグナムは道を譲らず、レヴァンティンを構えたまま動かない。

そんな中、ザフィーラが一歩前へ出てファルドに立ちふさがる。

「…シグナム。俺が彼の監視を引き受けよう」

「ザフィーラ…?」

「……信頼出来ないか?」
 普段は一歩引いた所から物事を見守るザフィーラが自分から動くのは珍しい。

「…分かった。だが、私も行こう」

「それで構わない。俺はさっさと行かせてもらうぞ」

迷わない足取り。自分の体を気遣う様子の無い無謀な姿。

不滅の剣は、まだ残っていた。

その背中に、その右腕に。

何度折られても立ち上がる、信念と共に。











「くっ!…やっぱエースは違うか」

髪をなびかせながらノルドは走り、なのはを狙い撃つ。

 避けながら態勢を直し、反撃する。しかし、体が思うように動かない。

《大丈夫ですか?》
「うん。まだいけるよ、レイジングハート」

「くっそー。こりゃ、撤退の準備しておかないとな…」
相変わらず軽い口調。決して馬鹿にしているのではなく、単なる癖だ。


「ルーツとロードは…大丈夫か」
ちらりと二体を盗み見て、安心するノルド。戦況は五分五分、対等に渡り合っていた。



「…強い」
《……》
大剣を構えたロードに、ディードが素直な感想を一つ。
 振り下ろされた大剣を両手の剣で受け止める。

「くっ…」
「エリアルキャノン!」

桜色の砲撃がロードを掠めた。
避けた先にはあらかじめ仕掛けておいたフローターマインがある。

《……》
それに触れれば爆発を起こし、機体は無事では済まない。
だが、横から飛んできた赤い銃弾が誘爆させた。

《……》
ルーツはノーヴェの攻撃を受けると同時にロードを助ける。

「こいつら…」
「ノーヴェ!」
呆気にとられて動きが止まった瞬間、大剣が投げられた。
すぐにチンクがシェルコートで防ぐ。

ロードは弾かれた大剣を拾い、回転斬りに繋げる。

隙の出来たその背中に、ディードの剣が降ろされるがルーツが割り込んでライフルで至近距離から砲撃を打ち込んだ。

「くっ!」
《……》
「チンク姉!」
一際強い一撃がシェルコートにぶつかり、その衝撃でチンクが苦悶の表情を浮かべる。
ノーヴェがロードの横に回ってガンナックルを連射して注意を反らせた。

攻撃を止め、ロードは大剣で上手く弾きながら下がる。

「大丈夫ッスか、ディード」
「はい…大丈夫です」

《……》
吹き飛ばされたディードに、ウェンディが駆け寄った。

どうにか追い付いている二体だったが、徐々に戦闘ダメージが重なってきている。

ルーツの右腕はノーヴェに蹴られて破損していた。その上、チンクの攻撃で左足も負傷。

ロードの左肩にはディードに付けられた切り傷がある。体の数ヶ所にはウェンディによる射撃の跡がついていた。

どう頑張っても後手に回ってしまうが故に、ダメージが増える。
だが、二体は諦めない。

《……》
《……》

背中に、兄弟がいる限り。

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あきゅろす。
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