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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
六ページ
笑みを浮かべるノルドは、更にカートリッジを二発装填した。

「なるほどね。まだ万全の体調じゃないか」
ヴァルキリーの銃口がなのはを睨む。


ルーツ、ロードの二名もナンバーズの戦闘パターンに慣れてきたのか徐々に押し返し始めた。












――WARS宿舎・医務室

「………」
何気なく目を開けると、景色の変わらない白い天井が映っている。

目を覚ましたファルドは痛む体を起こし、頭を押さえた。
まだ完全に意識が戻ってないのか、頭がボーっとする。

取り敢えず手短な壁に頭を打ちつけた。

「……痛いな」
《当然でしょう》
「ああ。だがスッキリした」
 ズキズキとする額を擦りながら周りを見てみる。誰も居ない、自分一人のようだ。

《八神はやてが先程来ました》
「………」
《貴方に伝言があるそうです》
ケルベロスに話し掛けたのか、それともこちら側から話し掛けたのかは寝ていたファルドには判断出来ない。

「何て言ってた」

《…困っているなら管理局は話を聞くし、手伝える事なら協力する。だそうです》

「…八神、か。大馬鹿野郎だな……だが、好きな馬鹿に入る」
《好意を持っているのですか?》
「さあな」
窓から外を見る。晴れた空に、黒煙が上がっていた。

「…『組織』が動いてるのか」
《その様ですね。助けに行きますか?》

…………

「いいや。大丈夫だろ」
《…高町なのは。彼女の体はまだ万全ではないようで、主との戦闘ダメージがまだ残っていたらしいです》
「だからどうした」

《それでも彼女は戦いに生きました。見捨てるんですか?》
「仲間がいるだろ。だったら俺はいらないはずだ」
 窓から目を背け、左手の甲を見つめる。ケルベロスが点滅しながら話し掛けてきた。

《…組織は管理局に手加減しません》
「当たり前だろう」



《また、貴方は人を殺します》
「っ! ケルベロス…!お前何のつもりだ!」

《私は正直な意見を言っただけです》
 右手に力がこもり、シーツを握り締めているのにも関わらずファルドは気がつかない。
ケルベロスは、主の為に自らを犠牲に続けた。

《主は逃げてます。ですが、迷っています》
「………放っておけ」
《いいえ。主の逃げや迷いは、私の逃げや迷いでもあります》
「…だからどうした」

《…私は迷った覚えはありません。主の傍に、貴方の為に造られたデバイスですから》

「……ケルベロス?」

《ですから、主。貴方は自分が本当に信じる道を進んで下さい。その道は、私が開きます》

何故か、涙が溢れてきた。

「……悪い、な。お前の声に、どう答えてやったらいいのか分からない…」

《簡単です》

頬を伝う一滴が、水晶に当たり弾ける。

ケルベロスは主の言葉を繰り返した。

いつか誓った、本当の気持ちを。

管理局のファルドとして

自らの信じていた主の言葉を

そのまま返した。





《奴等を、組織をぶっ飛ばせばいいんです》

「……お前も、馬鹿だ。俺と同じくらいに大馬鹿野郎だよ

……だが、嫌いじゃない」

 涙を拭い、ベッドから降りて廊下に出る。歩くだけで体が痛がるが、もうどうでもいい。

「…行くぞ」
《Get Set》
無人の廊下を歩きながら、漆黒のジャケットに身を包む。

「お前は、いつだって傍に居たんだな」
《はい。そして、これからも》
「…ありがとな」
照れ臭くて、ついぶっきらぼうに言ってしまう。

玄関を目前にして、留守番組のメンバーと鉢合わせた。

スバル、セイン、ディエチ、オットーと守護騎士達が何やら話し合っていたが、ファルドを見て驚く。

「………」

「その体で、我々と戦うつもりか?」
真っ先にシグナムが口を開き、レヴァンティンの待機形態を突き出す。

「無駄に戦うつもりは無い。そこを退けろ…」
 後ろ腰で待機していたケルベロスを取り出し、剣の形で構える。

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