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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
三ページ


 ファルドの容態を見たはやてが地上本部に向かうと言い出したので、フェイトは車を運転して送る。
遅くなるかも知れないという旨を伝えて、玄関ロビーに去るはやて。

「さて、私も一回なのはの様子見てこようかな…」
 元気そうにしていた親友だが、少しばかり無茶をやるためフェイトは心配になってきた。

「…………そうだ。その前に」
呟いて、海沿いの道を走る。少しだけ寄ってみようと、そう思ってハンドルを回す。












なー♪

「じゃあ、また明日な。元気にしてろよ?」

みゃー♪

「……………さて、と」
「今日も来てたんだ…ロア」
「…フェイト?」
 去りゆくネコに手をふったロアが振り向くと、フェイトが照れたように笑う。
少しだけ、その頬が赤い。

「気になったから、来ちゃった」
「仕事、いいのか?また時間に間に合わなかったとか言わないでくれよ?」
「う、うん。そうする…」
「はい。そうして下さい」

ロアの冗談めいた言葉に笑い合う二人は、ベンチに座って海を眺めながら他愛ない会話を始めた。

「フェイトは管理局の魔導師なんだ…」
「うん。ロアは?」
「オレ?…オレは、元時空管理局の武装隊。今は辞めちゃってるけどね」
「そうなんだ。どうして辞めたの?」
「……ちょっとね」
 少しだけ、悲哀を込めた視線と言葉が出てきた。
それだけ言うと、ロアは気が沈んだ様に黙ってしまったので、別な話題を出そうとフェイトが新たに口を開く。

「…恋人とか、居る?」
「えっ?……いないけど…なんで?」
「ちょっと、気になったから……」

「そういうフェイトはどうなのさ?」
「私もいないよ……」
「そっか。いや、綺麗だから彼氏の一人二人いると思ってた」
 苦笑しながら思った事を言うと、逆にフェイトが落ち込んだ。

「私…あんまり男の人とかと縁がないから……」
「あ、あー……だけど、いつかフェイトにも好きな人が出来るさ」
少し慌てた様子で慰めようとするロア。
それに、小さく頷くと笑顔を見せる。

「ありがとう。ロアも、素敵な人と出会えるといいね」

「う、うん…」
フェイトの笑顔に顔を背けると、自分の心臓に手を重ねて軽く深呼吸した。

「…どうかしたの?顔、真っ赤だよ?」
「いや、大丈夫だから…気にしなくていいよ」
「……本当?」
「うん」
 バクバクと脈打つ心臓の鼓動をどうにか押さえながらロアは軽く息を吐く。
疑問符を上げるフェイトの表情を盗み見て、別な話題を探そうと考えた。

結局思い浮かばず、フェイトの時間が来てしまう。


「ごめんね、ロア。今日はもう行かなきゃ……」
「ああ。それじゃ、フェイト。また今度、会えたら」
「うん。じゃあね……」
 小さく手を振るロアに見送られてフェイトは車に乗って去っていく。
その後ろを、見えなくなるまで見ていた。


「…フェイト、か。本当に彼氏いないのかな?…何言ってるんだか、オレは」
独り言を呟いた直後、通信回線が開かれる。
 白衣を着た男が簡潔に要件を知らせると、ロアは頷いた。

「分かった。すぐに向かう」
『心配な事は無いと思うが、念のために頼むよ。ロア』

「…あぁ。それじゃ」
切られた通信。そして、両手首に身につけている銀のブレスレットを確認する。

「…………行くしか、ないんだよな。オレも」
そう呟くと、ロアは街の外に向かって歩きだした。



「クトゥルグ、セットアップ」


深紅のバリアジャケットを身に纏い、両手には拳を覆うデバイスを付けたロアが空へ飛び立つ。

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