魔法少女リリカルなのはLOST Battle
二ページ
――研究所施設
「…なるほど、ご苦労だったね」
《オリジナルは管理局へ引き渡しました。これで問題は一つ消えます》
「さすがシャドウ。さて、後は……」
報告を受け、ドクターは不敵な笑みを浮かべて笑う。
「にしてもドクターは酷だねぇ。ライダー、シャドウの二体から逃れた所で隠れ家ごと吹き飛ばす予定だったなんて」
「作戦は、いつでも二歩三歩先を読むものだよノルド。常に最悪の状況を考えて動くのが基本さ」
「まーねー。それで?次はどうするの」
ドクターはキーボードを閉じて、ノルドへ振り向くと頭を撫でる。
撫でられたノルドはあまり嬉しくなさそうな表情をしていた。
「あのさ、頭撫でるの止めてくんない?」
「それは悪かったね。…計画の一段階はクリアしている。なら、二段階に向けて動こうか」
「オリジナルの撃退は完了。じゃあ次は…」
「管理局、地上側の戦力を徹底的に削る。その為に、今のこちら側の戦力を増強しなければね」
ドクターは調整している三体の隣に立っている造りかけの人形をなぞる。
上半身までしか出来てない体には、倍近いケーブルが繋がれていた。
「…それと、ノルド。『ルーツ』の方はいつでもいけるのかい?」
「勿論。まだ数体しかいないけど充分並の魔導師と戦える」
「信用しているよ。たまにはキミも動いたらどうだい?」
「そうするかね。太陽見るついでにルーツのチェックしてくる」
ノルドはフレーム達の最前列に立つ人形の模造品に視線を投げ掛ける。
見た目は似ているが武装が違っていた。背中に大砲をマウントした機体、剣を持つ機体が出番を待っている。
「そいじゃ。派手に騒いできますよー」
「撤退は早めに頼むよ」
「捕まりたくないからね、了解」
「ロアにも連絡はしておく。いざというときの援護としてね」
ノルドの背中に語り掛けると、白衣を翻しながらルーツを起動させて出ていった。
それを見送った後、ドクターは回線を開く。
「…レイス。そちらはどうなっている?」
『……多少捜査に手間取ってる。もうしばらく時間は掛かりそうだ』
「そうか。また連絡するよ」
『了解』
小さな返答を最後に、モニターの向こうに居る男は消えた。
シャドウ。ライダー。バスターの三体は静かに待つ。
「…シャドウ」
《はい》
「もし私に万が一の事があった時は、お前が私の夢を継いでくれ。だから伝えよう、私の目指している『楽園』の話を……」
縁起でもない。だがしかし、それでも自分の親が言うのだから従う。
ドクターは、シャドウに自らの望みを全て託した。
「……頼んだよ。その為にシャドウを造ったのだから」
《分かりました。必ず、ドクターの夢は私が叶えましょう》
「バスター、ライダー。お前達も、シャドウを守ってくれ」
《了解》
《分かった》
自分たちの親は一人しか居ない。その望みを叶える為に造られたのならば叶えよう。
それが、三体の存在理由。だから、戦うのだ。
親が望む、ただ一つの願いを叶える為に。
例えそれが、自らを破滅させようとも。
今は待とう。今は、必要とされていないのだから……
ささやかな眠りにつこう…。
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