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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
プロローグ


「……隊長!いつまでもサボらないで仕事して下さい!」
「うるさいっ!どちらにしろお前達が今日中に仕上げられなかった仕事は俺がやるんだから早くやれ!」

――懐かしいやり取り。


「おーいファルドー。機動隊メンバーの召集だって」
「ああ。分かった。内容は?」
「何でもロストロギア持った奴が魔導師を殺してるらしくてそれの対策だとさ」

――自分の信念を通すと決めた事件


「ファルド・ヴェンカー一等空佐!今回の事件をどう言い訳するつもりだ!」
「弁明する気はない。俺の指示で部下が…兄弟が死んだ。それに変わりはない」

――全てを失ったあの日



「君がファルド・ヴェンカー一等空佐か、歓迎しよう。私は――」

――……何かが変わった、あの日



「くっ!こちら、捜索班!輸送途中に襲撃を受けている!至急…、ぐあぁっ!」
「…………」

――自分を裏切った事件





(……結局俺は一人か。家族同然だった仲間を殺し、管理局を裏切り……)
 自分のしてきた事が、自分の今までしてきた出来事が走馬灯の様に脳裏に浮かぶ。


(…死んでもいい。どちらにせよ、俺の死を悲しむ奴は居ない……)
ならば、いっその事ここで楽になろう。そうすれば……


――私はね。君の力を確信している。何故なら君が……


……ふざけるな。


――自分の力が弱いと信じるかね?全ての理屈を覆せるだけの能力を持ちながら


黙れ……!


――弱い者を救える力。強者を打ち砕く力。君は、どちらを望む?


そんなのは決まってる。


――…そうか。なら私は君に力を与えよう。


……ありがとよ。だがな、あの日選んだ力はもういらない。


弱者を救う力か。強者を打ち砕く力か。

だったら両方選ぶさ。


救えるなら救う。砕けるなら打ち砕く。
今の自分に出来る事をやるだけだ。

邪魔をするなら叩き潰す。例えそれが、管理局であろうと……







 体を蝕む激痛で目が覚めた。ぼやける視界は、数回瞬きすれば元に戻る。

ファルドの目に入ったのは清潔感のある白い天井。病院にいるかと思ったが、そうではなかった。

筋肉痛の様な痛みに耐えながら身体を起こす。シーツを掛けられ、体の至る箇所に包帯が巻かれてあった。

「ここは…」
医務室と思われる部屋に居るのはファルド一人。
時刻を確認するが、イマイチ寝呆けているのか頭が理解していない。

「…………」
体の調子はあまり良くなかった。
まだ体の節々が痛む上に、頭痛がする。原因は頭を打ちつけたからなのだが。

ふと、左手を見るとやはり菱形の水晶が付いていた。
 蛍光灯の光を受けて輝き、ファルドの顔が映っている。

「…ケルベロス」
《YES.My Master》
異常無し。特にデバイスへは大した損傷は無い事に安心したファルドは、再びベッドに倒れると寝息を立て始めた。

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あきゅろす。
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