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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
十ページ
 時は数時間前。朝起きてシャワーを浴びようとしたファルドだったが、シャンプーが切れていた。
なので、仕方なく汗を流すだけにして朝食を取ろうとしたのだが、携帯食料及び買いだめしておいた食料が尽きている事に気が付き、こうして市外に買い物に来たのだ。

当然変装(眼鏡)をして廃墟の一階に置いてあるバイク(自分で修理した)を使って来たまでは良かったのだが……。

(まさか管理局の高町が居るとはな…)
その為、急いで引き返して現在に至る。

バイクのキーをポケットから取り出して差し込んだら勢い良く捻ってエンジンを掛けるのだが、自分で修理した分中々掛からない。

「このポンコツ…」
別なポケットからタバコを出して火を点け、くわえる。
諦めずもう一度。ブォン、と排気ガスを出しながら車体が震えた。
 荷物をバイクの適当な場所に引っ掛け、跨がる。二三回吹かし調子を確かるが問題は無さそうだ。

《主》
「なんだよ、ケルベロス」
 眼鏡を外し、代わりにゴーグルとヘルメットを被る。

《逃げましたね》
「当たり前だ。少し黙ってろ」
言われた通り、それきり黙るケルベロス。両手に手袋を着け、爪先まで詰める。

スタンドを上げ、タイヤを滑らせて走り出す。薄暗い地下の空気が肌にまとわりつくようで気味が悪い。
地上への出口を抜け、車道に出る。
 目的地は自宅なので、ファルドは車道の左側を走った。

地下と違い、外の空気は気持ちが良い。吸い込むだけで肺の空気を入れ替えてくれる。
嫌な気分もまとめて吐き出し、調子に乗って交通違反手前の速度でバイクを走らせた。



 下から見上げる一人のライダー。レンズがバイクに乗ったファルドを追い掛ける。
左右で高さの違う道路でライダーはファルドを探すついでに微調整されたソニックウインドの調子を確かめていた。
現在は一切不備は無い。

《シャドウ。オリジナルを確認した。追跡、及び可能ならば排除する》

《了解した。空から様子は見守るが、万が一の場合は支援するぞ》
ステルスジャケットにより、視覚・魔力探知の出来ないシャドウは空でファルドの動きを追っていた。

実質、動くのはライダーのみという予定だ。監視に近い。


《分かった。早めに片付ける》
《隠れ家に行く前に頼むぞ》
その言葉に、ライダーは甲高いエンジン音で返した。
 ブレーキハンドルから指を離し、タイヤが空回りする。すり減って白煙を上げながらも、高速で道路を走り出す。


《…『野良犬』を保健所へ送るとするか》
シャドウは独り言を呟くと、テンプレートからテンプレートへ乗り移ってその後を追った。

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