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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
九ページ
「え、あー。うん、ごめんね」

「……はぁ。ほれ、次は気を付けろよ」
 冷や汗を流しながら謝るセインに溜め息を返し、ボールを近くに立っていたウェンディに渡してそのまま去ろうと踵を返す。

「姉が迷惑掛けてすまねッス」
「もーいいから。全く…当たったらどうする」
「痛いんじゃないッスか?」

「当たり前の事を言うな…」
 コント紛いの会話を交わして早急に去ろうとするが、そうは問屋が下ろさない。

少女達に背を向けると、服の袖を引っ張られる感覚に捕われた。
ゆっくりと右袖を見ると、綺麗な手が控えめに摘んでいる。

更にその手を辿るようにして肩から顔を見ると、ボールを受け取ったウェンディが服を掴んでいた。
表情は満面の笑み。

「暇ッスか?」
「暇じゃない。今から仕事があるんだよ」
「はあ…ノーヴェ」
「何?チンク姉」
と、一番小さい一番の姉がノーヴェに指示を出す。
 チンクからのアイコンタクトで言いたい事を理解したノーヴェはウェンディを引きずって遠ざけた。

「お前まで迷惑掛けてどーすんだよっ」
「あ〜〜れ〜〜………」

「すまぬな。妹達が迷惑を掛けた」
 深々と謝るチンクに、ファルドは少しくらい相手してやろうと思い、ついつい口走る。

「何というか……あんな姿見せられると罪悪感が出るな」
「じゃあ少し遊ぶ?」
「……」


(待て俺。今は通信室優先だろう。あまり時間を無駄にするな)
自分に厳しく言い聞かせて、ファルドは首を横に振った。

「いや、今は仕事を先に終わらせたいからな。これで失礼する」

『え〜〜?』

「セイン。ウェンディ。相手方にも用事があるのだから諦めろ」

『はーい……』

(しっかりした姉だ…)
後ろで注意するチンクの声を聞きながら目的の場所を目指す。











ギンガに言われた建物の入口前には、二人の警備員が居た。
その二人に一度敬礼した後、中へ入る。

自分の階級と要件を伝えれば大抵は通ったが、中に入った以上それは通じない。

「……目的は最優先、か」
 いざ戦闘となれば容赦なく相手を撃破する覚悟のファルドだが、迷いが出始めていた。

「……馬鹿馬鹿しい。管理局にも、どこにも俺の居場所はない」

頼るのは自分の腕だけ。目の前に障害があるのならば、それが何であろうと排除して突き進む。

例外はない。



 建物の一番隅、通信室前の廊下に出た。扉の両脇に、二人の武装局員が立っている。
制服姿に凡用デバイスを持って警戒していた。

ここまで来た以上、もう隠し通せない。

「ケルベロス……強行突破だ。迅速に、かつ正確に終わらすぞ」
《YES.Master》
 ファルドは全速力で二人の局員に向かって走りながらバリアジャケットを装着し、デバイスを構える。
対応させる間もなく気絶させ、続いて扉を破壊して中に入る。


中は暗く、数人が外部と連絡を取り合っていたり隔離施設内の様子を映すモニターを見ていたが、破壊された扉の異常にファルドの出現を知らせようと動く前に通信室は爆炎に呑まれた。

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あきゅろす。
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