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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
八ページ
 着いた場所は、屋外で屋根のある小さなスペース。
ファルドはポケットから煙草を出そうと左手を動かすが、手首の辺りで止めて胸ポケットから右手で煙草を取り出した。

ギンガはそれを隣で見ている。

箱から器用に一本だけ出すと口にくわえて箱をしまい、ライターで火を点けて吸い始めた。

(あまり時間を食う訳にはいかない、か…)
「あの…通信室の場所ですが…」
「ん?ああ……」

ギンガは高く伸びた木の群れを指差す。正確にはその奥に見える建物を指している。

「あそこの建物、見えますよね。そこの一階にある角を曲がって一番隅の方にあります」
「分かった。ありがとよ」
「いえ。私は仕事が残ってますので、これで失礼しますね」
 一度敬礼すると、ギンガはそのまま去って行き、ファルドはその背中を見ていた。
ようやく一人になったところで溜め息と同時に煙を吐く。

「全く…心臓に悪いな」
『順調かー?』
 更にもう一度溜め息を吐き、頭に直接響く念話の相手を始めた。
軽快な声からすると相手はノルドのようだ。

「まあな。少し焦ったが」
『そうかい。こっちはいつでも準備万端さ。今三体は隔離施設上空で待機してるよ』

「……上空?」
その言葉に青空を見上げるがそれらしき影は見当たらない。

『ああ、普通には見えないし感知されないよ』
「なんでだよ」
『ステルスジャケットを装備してるから。といっても使い捨てだけどね』
「成る程…。とにかくこっちはこれから動く。そっちは合わせろ、じゃあな」
 いつも通りぶっきらぼうに切ると煙草を指で弾き、足で踏み躙って火を消す。

一度肩を大きく回し、首の筋肉をほぐして通信室のある建物へ進む。

当然中庭を通らなくてはならない。そのため、中央付近でサッカーをしているナンバーズ達の近くを通過する。


「チンク姉ー。いくッスよー」
「うむ。いつでも来い」

(仲睦まじいこって…)
 一番背の低い少女が姉だというのに少し違和感を覚えながらも見守った。

「よ、と…セイン。失敗するなよ?」
「勿論♪それっ」

(関係ないか…)

 視線を反らし、建物に向けた直後

視界の隅から高速で回転して模様のブレた丸い物体が迫る。

「…んなくそうっ!」

 避けられたボールは木に当たり、バウンドして戻ってきた。
バクバクと暴れている心臓を深呼吸で落ち着かせながら態勢を直す。

「あ……」
「‘あ……’ではない。何度いえば分かるのだ?」
「いやぁ〜、次は上手くいくと思って〜…」
 申し訳なさそうに話している姉妹の会話が聞こえる。

「その前に謝れよ!普通は被害者に謝るよな!?呑気に姉妹で話すなよ!」

柄にもなくツッコミを入れながらファルドはボールを持って近づいた。

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あきゅろす。
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