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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
七ページ
「ありがとッスー!」
蹴り返されたボールを脚で受け止め、大きく手を振りながら大声を出すウェンディ。

 そんな姿を尻目に、ファルドは去っていき、それを見て拍子抜けしたように手を下ろす。

「冷たい人ッスねー…」
「だったらボール蹴り返さねえよ」
 勝気な口調のノーヴェの言葉に頷き、続きを再開した。




一方のファルドはポケットから煙草を取り出すと、火を点けずにくわえたまま廊下を歩いている。
時折ズレ落ちる眼鏡を指で押し上げながら、内部の地図を探していた。

 中は少し暗いが、天井からの灯りがそれを解消している。
一本道の廊下を進みながら勘を頼りに中をうろつく。


すると、前の通路に二人組の女性が現れた。
右から左へ歩いている。

 片方は蒼いロングヘアーの女性。
もう一人は茶髪の短い髪、ドクターからの忠告を受けた八神はやて。

(次から次へと…邪魔にならなければいいが)
などと考えていると、はやてはそのまま真っ直ぐ行き、もう一人はファルドの居る方向へ進路を変えた。

「それでは、はやてさん。また後で」
「おおきにな〜、ギンガ」
 ギンガは微笑みを返事代わりに返し、ファルドのそばまで歩いてくる。

そのまま通り過ぎようとしたが、呼び止められた。

「すいません…煙草は喫煙スペースでお願いします」

「…………」
 あからさまに呆れた視線を向けた後、ファルドは煙草をしまう。

(驚かせるなよな…)

「ああ、分かった。次から気を付ける」
 そう言うと、ギンガは喜ぶように笑った。ファルドは火を点けていなかった煙草をしまい、その脇を通り抜ける。

「あの、喫煙スペースの場所は分かりますか?」
「…………分からないな」
「でしたら、案内しますよ」
 髪をなびかせながらギンガが振り返り、付いてくる様に促した。

(まずったな…。とりあえず怪しまれてはいないから良しとするか)
仕方なくその隣からやや後ろに移動しながら付いていく。

歩く度に変わる景色に目を向けながら二人で施設の中を歩き続ける。

その途中、ファルドはついでに通信室の場所を聞こうと口を開いた。


「名前は?」
「え?…ギンガ・ナカジマです」
「そうか。ギンガは隔離施設の事は詳しいか?」
「いえ、そんなには……。ですけど、一通りは分かりますよ」

「成る程…」
 否応なしに管理局に居た頃の口調が出てくる事に苛立ちながらも、着々と居場所を聞いていく。

「通信室に用があるんだが、場所は分かるか?」

「…?はい、一応は。ですけど通信室に何の…」
「それは企業秘密だ。上層部からの特命でな」
「失礼ですが…階級の方は?」

「また同じ質問か……。俺は一等空佐だ」

「え?…通信室までご案内します」
「いや、構わない。一服してから行くさ」
 上司と分かると、ギンガの態度はしおらしくなったがファルドはそういうのが嫌いだった。

「すいません、私…」
「別に階級なんか気にする必要はない。俺の場合はな。そういうのが嫌いなんだよ」
「はい…」
 自分の言った言葉と今の状態の摩耗に、ファルドの苛立ちは募る。

(だから、俺は管理局の人間じゃない……違うだろ、ファルド・ヴェンカー。敵のはずだ)

自分への苛立ちを隠すようにしていると、ギンガが喫煙スペースに到着した事を知らせた。

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