魔法少女リリカルなのはLOST Battle
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ならば詮索するだけ無駄だろうと思い、ファルドは話を切り上げた。
「案外驚かないね、ファルド」
「興味がないだけだ。これでも驚いてる」
デバイスだとは思えないくらいに滑らかな動きをしている三体に、多少関心したがドクターの技術なら失敗はない。
ファルドが知る限り、一番腕の良い技術者だからだ。
《ドクター》
「どうかしたかね、シャドウ」
《作戦内容を…》
「ああ、すまない」
と、ドクターがテーブルの上に置いてある服をファルドに差し出す。
「……どういうつもりだ」
茶を基本にした制服、それは時空管理局のだった。
「まあまずは聞きたまえ。ファルドには隔離施設の内部へ潜入して通信室を破壊してもらう。それだけだよ」
「…脱出はどうする」
「君次第だ。その後はシャドウ達に任せて構わない」
管理局の制服を受け取るファルドだが、敵意の籠もった視線をドクターへ向ける。
「俺の顔は管理局に知られているんだぞ?」
「ならば変装したまえ」
「はぁ!?」
あまりにも予想外な返答をされて、間抜けな声が出てしまった。
「うわ、珍しい。ファルドが間抜け面してる」
「黙れ。…簡単に言ってくれるな」
「実に簡単な方法だよ。変装自体はね」
「……こんなもんで本当に大丈夫なのか?」
渋々管理局の制服に身を包んだファルドは、黒眼鏡を掛けている。
「後はキミ次第さ。頑張りたまえよ」
(…無理があると思うぞ、俺は)
「……何か?」
「何でもない。行ってくる…」
胸中で不満を口にしても始まらない。そのままラボを出ていき、隔離施設へと向かった。
ノルドが何かを思い出し、呼び止める。
「何だよ…」
「どうやって中に入るつもり?」
「……その辺りは問題ない。手段はいくらでもあるからな」
そう言うと、ファルドは研究所から去っていった。
「ま、元・時空管理局の人間に心配いらないか…」
暗く長い廊下の途中から引き返し、ラボへと戻る。
「ノルド、三人に“ステルスジャケット”の装備を頼んだよ」
「あいさー」
そして、戦争の下準備が始まった。
――ミッドチルダ首都・クラナガン
道路を走る一台の車。速度も信号も、交通違反をする事なく走り続けていた。
左右に立ち並ぶビルの数々、正面には舗装されている道がある。
目的地はその先。山を越える高さを誇る管理局の地上本部。
煙草をくわえ、黒眼鏡を掛けた管理局の人間は車を運転しながら周囲に気を配る。
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