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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
プロローグ
――時空管理局地上本部・ヘリポート

 ヘリコプターのローターの回る音が朝の空に響いている。そこに、最新式の704式ヘリと一人の青年が立っていた。

ヴァイス陸曹。シグナム達と共にレリック事件に立ち向かった、優れた陸戦魔導士である。

飄々とした態度で操縦士の服に身を包んでいる彼は誰かを待っているのか、入り口の方に視線を向け続けていた。

「全く、こんな朝っぱらから指名させられるなんざろくでもねえや」
 まんざらでもなさそうに愚痴をこぼし、一人きりのヘリポートで指名した人物を待ち続けるヴァイス。

その時、入り口が開き懐かしい顔がこちらへ向かってきた。いつもの小さな相棒を連れている。
 真っ直ぐ自分のそばまで来ると、脚を止めた。

「久しぶりやな、ヴァイス陸曹。元気にしとったか?」

「八神部隊長!?まさか俺を指名したのは…」

「はやてちゃんですぅ」

「マジか。で、わざわざ俺に頼んだ理由は何ですか?」

「それは秘密や。さ、早く行こか」
そう言うとはやてはローターを回して待機している704式ヘリに乗り込む。
 ため息を吐き、運転席へヴァイスが座った。

ヘリが空に上がり、ゆっくりと地上から離れていく。

「場所はどこですか?八神部隊長」

「海上隔離施設までお願いや」
「了解しました」
「ちゃんと運転して下さいよ、ヴァイス陸曹」

「はいはい、分かってまさぁ……」
げんなりと呟き、操縦桿を操って海へとヘリコプターを飛ばす。







「へぇ〜、新しい機動六課……」
「そう、今はWARSって名前やけどね。うちはそこの部隊長さんや」
「やっぱエリートは違うですね。俺なんて未だに……」
道中、三人は身の回りの話や近況を語り、再会を楽しんだ。

ふと、何かを思い出したようにヴァイスが話を変える。


「そういえば…八神部隊長は“管理局の切り札”って呼ばれていた男の事、知ってますか?」
「管理局の切り札…?聞いた事ないなぁ」
「なんでも、恐ろしく強い魔導士らしくて優れた戦技教導官だったって話です。今は行方不明ですがね」

「行方不明…?何でや?」

「知りませんよ。実は俺、その人と一緒に街に行った事あるんです」
自慢気に話すヴァイスにはやては苦笑いを浮かべ、リインフォースは呆れたため息を吐いた。

「たまたま休暇が重なって、向こうに自分から話掛けたんです。そしたら向こうも了解してくれて……あん時はガキみたいにはしゃいじまいましたよ」
 当時の出来事を思い出しているのか、子供のような笑みで笑い続けるヴァイス。

「だけどそんな俺と同じようにはしゃいでた管理局の切り札の姿を思い出すだけで笑いが止まりませんよ」
「そうなんか。名前とか覚えてるか?ヴァイス君」

「いや…教えてくれなかったんです。名前を聞こうとしたら緊急出動が入って……」
「残念やなぁ…」
あ、けど…。と言ったヴァイスがはやての方を向いた。

「本人は『俺は“エース・オブ・ストライカー”の……』って言ってました。名前を言う一歩手前で行っちまいまして」

「…“エース・オブ・ストライカー”…」
「なのはちゃんと違うですねぇ…。それよりヴァイス陸曹!ちゃんと前見て運転して下さいです!」
「はいはい」
ちっちゃな上司に叱られて前を向いて運転をする。


三人の空のドライブはまだ終わらない。

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