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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
八ページ
その様子を見て楽しそうに笑い続けるドクター。

「…………」
 腕を組んだまま動かずに神妙な面持ちで固まっていたファルドは腕組みを解くと、気だるそうにしている。

「ファルド、お前はどうする」
「興味ないな。好きにしろ……」

「そうか…それは残念だよ。私は君の力を一番頼りにしているのだがね」
「だからどうした」

「やはり元仲間と戦う事に抵抗があるかね…?」
その言葉にファルドの表情が険しくなった。だが、すぐにいつもの無愛想な顔に戻ると全員に背を向けて歩きだす。

「ファルド?」
「帰る。その計画はお前らだけで好きにやっていろ」
「待ちたまえ」
 ドクターの一言に脚を止めると、ケルベロスを構えながら苛立たしげに振り返る。
ロアは相変わらず腰に手を当てたまま、ノルドは液晶ディスプレイと睨めっこしたまま動かない。

「まだ何かあるのか…」

「そろそろ君も私達と拠点を共にしたほうがいいのではないかと思ってね。隠れ家が見つかるのも時間の問題だろう?」

ドクターの言う事は最もだ。しかし、その裏では自分の計画に参加させようとしている。
再びファルドは考え、ケルベロスをしまう。

《私もドクターの意見に賛成です》
「…そうかよ。分かった。だが俺は好きに動くぞ」
 相棒の珍しい意見に頷くと、ドクターは騙した相手を嘲る様な笑みに変わり、手を差し伸べた。

「こちらの作戦に最低限従ってくれれば構わない。実質、働くのは私の“人形達”だからね」
「……俺は先に寝る」
 そう言うとファルドは手を差し伸べているドクターの横を通りすぎ、更に奥の通路へ消えていく。
 その背中へ向かってノルドが部屋の説明を話すと、軽く手を振って返した。


 完全に暗闇に姿が呑まれたのを見て、ロアは拳を掌に打ちつける。行き場のない苛立ちをぶつける様に、八つ当たり気味に自分の体を痛め付けた。
すぐに手を離すと三体の人形を見つめるロア。

「ホントにアンタの人形達は役に立つのか?」
「なら実際に戦うかね?」
「冗談キツい。馬鹿じゃねえんだよ、俺は」

「はは、そうかね」
「お話中失礼。ドクター、データのインストールが完了した。いつでも起動出来るよ」
今までキーボードを叩いていたノルドの手が止まる。
 重要事項を知らせる話にも関わらず、やはり口調は軽い。

「そうか…ご苦労だったね、ノルド。ゆっくり休むといい。それとロア、君も武装を解除したらどうだね?」

「言われなくてもそうさせてもらう。クトゥルグ」
《Yes》
重鎮の様に威厳のある男性電子音声、バリアジャケットが私服に変わり、両手のデバイスは銀のリングへ姿を変える。
 ロアは宙に浮く二つのリングを手首にはめ、肩を鳴らした。

 大きくため息を一度吐くと、伸びをしながら深呼吸をする。

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