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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
五ページ

誰かがいる。それは誰だろうか?答えはきっと振り返れば分かる。だけど、それが出来ない。

目が熱い。視界が潤んでよく見えない。胸から込み上げてくる気持ちが止まらない。

「っ……ぅ……!」
小さな嗚咽を洩らし、背後の足音を聞く。一歩一歩、ゆっくりと。だけどしっかりとした力強い歩み、覇者が覇王に成るために進む道を歩くような迷いのない足音。
 涙が頬を伝い、地面に落ちていく。小さな水滴は乾いたコンクリートに吸い込まれて僅かな染みを残していった。

風が止む。

「鬼が地獄に落ちるかよ…」

紅蓮の破壊者

「俺は、ちゃんと帰って来たぜ」

管理局の、赤い鬼

「約束通り…お前の下に」

百戦錬磨の拳を振るい

「守ると決めたからな」

灼熱の闘志を燃やし

「だから…フェイト」

憎悪に汚れた戦友を救い

「もう安心しろ」

最後まで青空の騎士と戦った

「俺は、帰って来たぜ」

真紅の覇王

「お前を、守る為に」

ロア・ヴェスティージは帰って来た。

ただ一人、愛する女性の下に。


「ロア…!」
我慢出来ず、名前を呼んでしまった。涙が止まらない。振り返り、すぐそばまで来ていた胸の中に飛び込む。

傷だらけで、ボロボロの壊れそうな体。両腕に、肘から先へ包帯をぐるぐる巻きにして。左目を閉じた姿は痛々しい。

だけど、凄く強く感じるその体を抱き締める。もう離したくない。もう、離れて欲しくないから。

「…約束、守れよ…」
「えっ…?」
にっと笑い、指で涙を拭う。

…あぁ、忘れてた。そうだった。

戦場から帰って来た彼を迎え入れてあげなければ…

一言だけでいい。

「ロア」
「ん?」

必ず会える。だから言うんだ。

私は、約束の言葉を。

また会った。帰って来た彼に言わなきゃいけない言葉。

とても簡単で、とても大切な挨拶

別れとは逆の言葉。

再会する言葉。

だから笑顔で言わないと

彼が守ってくれた笑顔で

私は、一言だけ告げた。





「お帰りなさい……」


だから、こう返してくれた。





「あぁ……ただいま、フェイト」

優しく、抱き返してくれた。それが凄く嬉しくて、また泣いた。ずっと、ずっと泣いてしまったけども彼は待っていてくれた。

ずっと帰りを待っていた私が泣き止むまで、ずっと………。

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あきゅろす。
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