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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
三ページ
 忙しいのは本当だが、無理に今日のスケジュールを詰め込む理由は無い。とにかく時間が惜しいだけだ。クルヴィスの車に乗り込んだはやてを連れて機動六課に向けて走りだす。

片手で運転するのかと思いきや、左腕のギブスを外して両手を添えてハンドルを操作していた。

「クルヴィス君?左腕…」
「片手で運転してたらまずいでしょう。ただの飾りですよ。偉い人じゃなくても分からんのですから車の中なんて」
車で移動している最中、二人に会話は無い。無言で機動六課に向かう沈黙を破ったのははやて。

「…なぁ」
「何ですか」
「クルヴィス君はどうやってブレイド破壊したん?」
「思い出すだけで傷が痛むのでまた今度にしてください」
「えー?」
「それよか八神二佐は今はうちの捜査官の一員なんですからしっかりお仕事やってもらいますよ」
「機動六課で何するん?今は新人研修の特別訓練場……」
ニッコリと笑ったクルヴィスの笑顔がやたら怖い。

「HAHAHA。頑張って責任と面倒見て下さいね、機動六課部隊長八神はやて二等陸佐殿♪」
「はぃぃ!?ど、どういう事やねん!?」
「だって機動六課解散してませんし、部隊長引き継ぎだし今は俺の管轄内ですから当然面倒見るのは八神二佐でしょう」
「…は、はめられた……」
「では、お仕事頑張ってくださいね。俺は地上本部に行きますので後は任せました」
「……首領(どん)キツネ」
「何か言いました?ちびタヌキ」
「しっかり聞こえてるやないかーい!」
そんな会話をしながら、はやてを機動六課に置いてクルヴィスは地上本部へと向かった。
 新人研修の特別訓練場ならば教導隊員が居なければならない。しかし生憎とメンバーは揃っている。航空戦技教導隊所属のエースオブエース。

そして、深紅の鉄槌の騎士。

「はやてちゃん、お帰り」
「ただいまなのはちゃん。もー、クルヴィス君にはほんま困るわ」
「キツネみたいな奴だしな」
「ただいまヴィータ。今はお昼休憩?」
「ううん、まだだよ。これから模擬戦なの」
そう話すなのはの目は輝いている。楽しみなのだろう、だが訓練生は地獄を見る事になる。そう思うとヴィータはこの後の惨劇を想像して顔を引きつらせた。

何となく、なのは達は空を見上げる。あの日出会った騎士の守った青空は気持ちが良い位に晴れてミッドチルダを見守っていた。

風が吹く。柔らかく、暖かい気候を運んでなのは達の髪を揺らす。これから暑くなるだろう、もうじき夏が来る。

「ファルドさんは…」
「まだ見つからないんやて」
「そうなんだ。だけど、きっと帰って来るよここに」
機動六課に、必ずファルドは帰って来る。それは約束した事だ。

行ってきますと言った。

だから、帰って来たファルドには皆でこう言おう。


お帰りなさい。と、ただ一言。

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