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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
四ページ
いつから慣れてしまったのだろう?この機械的な世界に。

いつからここに通うようになったのだろう?無人の世界に。


「ああ、来てくれたのかい?」

「……まあな」
突然前に現れたドクターに驚く事なく、ファルドは脚を止める。
普段は言葉を交わし、仕事を貰って別れる。だが今回は違った。

「…見せたいものがある。そう言っていたな」
「そうだ。着いてきてくれたまえ。それと……私の目的も話しておこうか」

 そう言うとドクターは背を向けて歩き出し、ファルドはそれに歩幅を合わせて着いていく。
二人分の足音が反響しながら静かに消えていくのを聞きながら歩き続ける。


何となく白衣の背中を見つめていた。背は自分より多少高い。髪は銀髪で手入れをする暇が無いのかボサボサの犬みたいに跳ねている。

「……私が時空管理局でデバイスの整備・研究をしているチームの一人である事は知っているね?」
「ああ。何で抜けたかは知らないがな……何故だ、アンタならその地位に不満は無かったはずだが?」

「それならキミも同じだろう?時空管理局・機動武装隊隊長にして最高の戦技教導官、そして“管理局の切り札”と呼ばれたエー…」

ガチャリ、と重厚な鉄が構えられる音に振り向くとそこには今にも引き金を引きそうなファルドが睨んでいた。

「黙れ…そこから先は例えアンタであろうと容赦しないぞ……!」
「分かった。命が惜しいからね、口を閉じるとしよう」
降参の意を示す両手を上げたポーズを見たファルドは舌打ちをすると、ケルベロスをホルダーへしまう。

再び歩きながらドクターは話を続ける。

「私がそこを抜けたのは理由があるのだよ。研究途中であった“マルチデバイス”の製作中止。そして、それによって起きた局員の死亡事故……」
「だがアンタはマルチデバイスの研究を諦めずにそいつを完成させた。問題視されていた使い手の魔力が暴走し、自爆するのを解決させる方法を見つけた」

「そう。絶大な破壊力、術者の思考を瞬時に読み取っての超高速処理能力。それらを扱い切らせる為に私が取った手段、道具ではなく“体の一部”として使用させる方法だ」

「そいつの第一号完成系が…ケルベロスだろ?」

「その通りだよ。番犬の主」
《貴方には感謝しています》
ケルベロスの声は二人に向けられたものだった。

「ケルベロスには魔法プログラムがほとんど組まれていない。その分ファルド、キミの魔法の発動に掛かる時間は大幅に短縮されているはずだ」
「その通りだ。話が逸れてるぞ」

「これは失礼。…居場所の無くなった私は管理局を抜け出し、黙々と技術を磨き続けたよ。そうする内に段々と自分の努力の結晶が無駄ではない事の“証拠”が欲しくなってきた。丁度その時期にジェイル・スカリエッティの事件が耳に入ったのだよ」

「……つまりアンタはこうだろう?スカリエッティに触発されて自分の研究の成果を管理局に見せつけたくなった。違うか?同じ技術者としてアンタは何処かでスカリエッティをライバル視していたからな」

ファルドの言葉に、壊れた様な笑い声を上げ始めるドクター。鉄の世界に響く一人の技術者の狂笑。


「クッ、ハハハハハハ!素晴らしいっ、やはりキミは素晴らしいよ!流石、さすがは私の見込んだだけはある!私の目に狂いは無かったかっ!」
興奮しているのか、ファルドが今までに見たことがない程に狂うドクター。

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