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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
一ページ
 エデンが沈み、地上を巻き込んだ災厄の戦争が終わり二週間が経った。地上本部暫定最高評議委員会の目論見である楽園の兵器運用は闇へ消え、その真実を知る一人の三等陸佐は癒えない体を引き摺って仕事をしている。

機動六課は解散されず、今後は新人研修の特別訓練場として地上に籍を本格的に置く事になった。これも何処かのキツネが手を回し、悪知恵を働かせた結果である。
 機動六課隊員は当面の間それぞれの役職へ戻り、ナンバーズは聖王教会に異動した。


そんな教会の一室。優雅にお茶を楽しむ二人の女性がいる。

カリム・グラシア

八神はやて

この両名だ。表情はあまり浮かない。今日は新しい予言があった訳じゃないし、はやてもカリムに用があった訳でもない。なら、何故二人が居るのか。
口を開いたのははやてだった。

「最近教会の調子はどう、カリム?」
「変わりないわ。シャッハも最近はナンバーズの皆と打ち解けてきたみたい。ルーツとロードも、護衛の騎士としては申し分ないもの、問題もない」
「そうかぁ、やっぱ賑やかやろ?ナンバーズの皆いると」
「ふふ…そうね」
 和やかな笑みを浮かべ、笑い合う二人だがすぐに紅茶に視線を落とす。

「はやて……」
「ん?」
「私ね…ずっとファルドの事が気になってたの」
「……」
「人を好きになるって、簡単だと思う。だけどそれを伝えるのって…凄く難しい」
「カリム…」
「もっと早く…言えばよかった。少しでも勇気を出して、ファルドに」
コンコン、という軽いノック音が二回。続けて扉が開かれ一人の青年が敬礼して中に入った。

「お話し中申し訳ありませんがくそったれな上層部の命令の所為で休暇返上してまで仕事を強いられている柳クルヴィス二等陸佐が入りますがよろしいでしょうか?騎士カリム殿」
左腕にギブスを巻き、頬にガーゼを張りつけ額に包帯を巻いた明らかに重傷なクルヴィスが不機嫌そうな表情で立っている。
 ブレイドを破壊した後、ナンバーズに救助されてひとまず病院に連れて行かれたまでは良かった。

だがしかし、負傷者多数でベッドが残り少ない所為かは知らないが「報告書書きやがれくそ野郎」という上層部の粋な計らいにより治療された翌日から働き詰めの状態である。今度本気で上層部に喧嘩を売ろうと考えていた。

「呼び出しといて申し訳ありませんね八神二等陸佐。こっちも仕事が溜まりに溜まって山みたいになってますから勘弁して下さいね。いっそのこと崩れ落ちろよ地上本部」
「あ、あー…別にうちは構わへんよ?クルヴィス君にこの後ついてく予定やったし」
ご機嫌斜めのクルヴィスに、はやてが苦笑いを見せる。いつになく口が悪いのが怖い。

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あきゅろす。
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