魔法少女リリカルなのはLOST Battle
十ページ
「俺の拳だろうが!俺の腕だろう!紅蓮の火を灯し、闇を照らし悪を打ち!徹底的に敵を叩きのめす容赦無い鬼の拳だろ!だから応えろ!ぶちのめせ、叩き壊せ、跡形もなく破壊して蹂躙して孅滅してぇ!何もかもぶっ壊せ!」
吠える。獅子の咆哮。炎に包まれた灼熱の太陽に叩きつけた拳を天にかざして突き出して立ち上がる。本来の名を叫び、本当の姿を曝け出す。
人間を辞めて、兵器の名を。
「我が内に眠りし灼熱の獅子よ!てめえの牙が俺の拳だ!てめえの爪が俺の脚だ!てめえの獲物は、俺が食らう!」
《アクセス》
「イア・イア・クトゥグアァァァァァァァァッ!!」
天に昇る紅蓮の火柱。バリアジャケットが燃え尽きる。緋色の篭手が更に鋭く、更に凶悪に形を変えた。
牙の様に。拳の様に。
炎が脚甲に形を変えた。
爪の様に。脚の様に。
鎧を肘から先に。膝から下に纏い赤い鬼は本来の姿を取る。
赤く、紅く朱く。ひたすらに燃やし尽くすアカい鎧。
外套を脱ぎ捨て、防御を捨てて破壊する為の鎧。攻撃こそが最大の防御。
三角の前掛け。金色の刺繍でベルカの魔方陣が描かれた短い外套。前を開けた上着に堅牢な肩当て。無骨で岩を切り出したような塊を着けた鎧。
紅い憤怒の炎に包まれた灼熱の獅子。青空の緋色の怒り。
具現化する獅子。手懐け、我が身の様に扱う闘士の名前は
ロア・ヴェスティージ。
「ファフニイィィィィルッ!!まだだ、まだ終わっちゃいねぇ!俺が、俺の拳が相手だあぁ!クトゥグアの拳が!灼熱の荒らぶる怒りの炎が!てめえを破壊する!」
「んだよ…何なんだよ訳分かんねぇよ何なんだ貴様はあぁぁぁぁっ!!」
ファフニールの悲鳴に似た絶叫に導かれ、遺跡から飛び出す二つの影。
蒼い騎士。
黒い憎悪。
「ぐぁっ…!」
「ヴォイドオォォッ!!」
振り上げた剣の魔力を開放しながら振りかぶり、地面へと叩きつける。
ISテンプレートで跳ぶ様に着地した先にはロアがいた。
「旦那!?」
「…ようファルド。随分イカした左腕じゃねえか?」
「そういうお前は、格好いい鎧着てるな…」
まだ折れない。まだ終わっていない。
最強で
最高に
最大の
切り札。
二人に敗北は、似合わない。
蒼天の守護騎士
紅蓮の破壊者
悪夢を切り裂き、
悪夢を打ち砕き、
楽園を破壊して、
勝利の凱歌を響かせる英雄。
「覚悟はいいかファフニール」
「立て、ヴォイド・ランセルグ」
「これが、こいつが…」
「俺達のこの戦いが!」
『最後の決戦だ!』
拳を突き付け
剣を突き出し
悪を震わせる。
青空を守り
笑顔の為に戦い
命を顧みない彼らにこそ
青空は、相応しい。
[*前へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!