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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
九ページ

「がっ……」

ドサリと、地面に投げ出される四肢に力が入らない。

朦朧とする意識は眠気に似た物に誘われて遠ざかろうとする。

暗闇が落ちてくるのを食い止めようとするが、目蓋が落ちやがて…

意識が落ちた。


「っ……、だからお前は勝てねぇのさ……俺に……」



(あぁ……くそったれ…)

知らず知らずの内に泣いていた。悔しくて、悔しくて悔しくて仕方ない。認めてもらえない。
この拳では駄目なのか。まだ勝てないのか。

自分の拳ではまだ届かない。

壊す事しか出来ない拳。

守れない拳。

誰も。


(守り、てぇのに…!)


フェイトの笑顔。

(約束、したじゃねえか…!)

ファルドの背中。

(俺に……!)

自らの拳に問い掛ける。

(俺の拳だろうが…!紅蓮の破壊者の、腕だろう…!)

だから応えてほしい。

(俺が…せっかく得た笑顔だぞ…)

初めて惚れた笑顔。

初めて触れた笑顔。

(守らせろよ…!)

壊したくない。失いたくない。

(そいつも壊しちゃ、意味ねぇんだ…!)



――ロア

 頭に直接響くもう一人の声。いつからか姿を見せなかったもう一人、『この体の本来の持ち主』

――守りたいのか?

(当たり前だろうが…!)

――そうか……なら、もういい

(…なに?)

――お前が…守りたいならそれでいいんだ。俺は消えるさ。

(おい…)

――大丈夫。


――彼女が傍に居てくれる。

(――!)

――だから…大丈夫だ。

 拳を作る。天にかざす。

――もう、一人じゃない。


(………)

――だから…俺の代わりに

(分かってる…あぁ…任せろ…)


――フェイトを、よろしくな


(……あばよ……『ロア』)


――じゃあな……






「へっ……後は、旦那の所に戻って…死にかけの相手しねぇと…」
 ファフニールは、歩み出す。プログラムは自動修復される。足りない部分を補うように、朽ち果てぬように。無限に続く憎悪に加担する為に何度でも。

(小僧、お前の拳に少しでも期待したのが間違いだったってか…)

ようやく終わると思っていた。だが、所詮魔導師。管制プログラムには届かない。
背を向け、翼を広げた音に紛れてガシッと指が手を打つ音が背後から響く。

「うぉ、おおおっ!!」


「なっ…」


「クトゥルグゥゥゥッ!てめえが!てめえが俺の、紅蓮の破壊者の拳だってんなら俺の声に応えろぉ!」

まだ拳を作り、咆哮する。

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あきゅろす。
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