魔法少女リリカルなのはLOST Battle
八ページ
壁がある。思いの違いがある。
「…名前を呼ぶっていうのはな、古代ベルカじゃ認める事になる。敵として、仲間として、信頼の証として…!」
それが、最後の抵抗。
誰にでも出来る難しい事。
「だから俺に名前を呼ばせねえ限りてめえは俺に勝てねぇのさ!コイツが俺とお前の違いだ!名前を呼べば負けを認めちまう!だから俺に名前を呼んで欲しけりゃ俺に勝ってみせろよ小僧!」
「やってやるよ…ああやってやらぁ!てめえの背負ってきた物も、てめえの歩いてきた歳月も何もかも全部ぶっ壊してやる!そうしたら俺の名前を呼べ!」
「やれる物ならやってみやがれ…俺の憎悪は深いぜ?」
「あぁ、分かってる…!」
ファフニールの爪が火を灯す。黒く、対照的に黒い憎悪の炎。
ロアの拳が燃え盛る。紅く、対照的に紅い憤怒の焔。
決して判りあえない。
決して並ぶ事はない。
共に歩む事は出来ない。
互いに認め合う時、それは…
相手の屍を越えなければならないから。
「だから…だからよぉ…!」
「あぁ…そうだよなぁ…!」
『続きをやろうぜ!俺達のケンカの続きをよぉ!』
判りあえない。だから二人は拳をぶつける。言いたい事も全部何もかも全て乗せて、叩きつける。
一方的に暴力を奮い、圧倒的に意見を押しつけて二人は拳を交わす。
言葉はいらない。
コレが、二人の会話。
後に退けない痴話喧嘩。
痛くて痛くて、辛くて泣きそうな位痛い
不器用な友情。
「ファフニイィィィィルゥッ!」
いくら呼んでも答えは同じ。
「小僧おぉぉぉぉっ!!」
いつも同じ答えを返す。
ミシィッ――
互いの胸を打つ拳。伝わる確かな手応えに血を吐きながら胸ぐらを掴み上げて額を打ち付ける。
割れて血が流れ出ても構わない。更に踏み込み、腹に拳を突き刺す。ミシミシと内臓を圧迫する塊に負けない様に歯を食い縛り、鼻息を荒くしながら頬を殴り付ける。
倒れそうになる体を支え、また二人が拳を構えた。血の流れる額に叩きつけ、消えそうになる意識を呼び戻して踏み込んだ脚で脇腹を打つ。
骨を打つ感触、遠くなる意識を留める。耐え切れず血を吐き出しながら尚も拳を突き上げる様に叩き込む。
ズドン――!
鼻先が触れ合う距離に顔が近づく。瞳の中に映る闘志の炎だけが二人の体を支える。
「ぐぅぅぅ…!!」
「ぬぁぁぁぁ…!」
ミシミシミシ――
怒りに歪み、逆立つ髪を掴み額をぶつけ合う。
ふらつくロアに、ファフニールの拳が殴り付けられた。
その胸を打ち、そのまま仰向けに倒れていく。
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