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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
七ページ



――元々は災厄と呼ばれるような剣では無かった。

だがいつしかそのプログラムに誤差が生じ、戻せないまでになってしまっていた。

いつからだろう。闇に染まったのは。

いつからだろう。道具として扱われてきたのは。

いつからだろう。憎悪に惹かれたのは。

いつからだろう。



戦う事が。

戦える事が。

真正面からぶち当たり

逃げもせずに

隠れもせずに

ただ自分の名前を叫び

拳で語れる事に。

喜びを感じる様になったのは。


……ああそうか。

そうだった。

アイツと出会ってからだ。

管理局の赤い鬼。



ロア・ヴェスティージ。


コイツなら、

コイツになら、

コイツと戦えば

俺は……


救われるだろうか…そんな誇大妄想は実現しない。

俺は憎悪の災厄

俺はダインスレフ

俺は……

俺の名前は…

ファフニール。




「何だってんだ…!」
 歯を食い縛り、口の端を血で染めながら呟く。

悔しい。悔しい。何故自分がこうまで追い詰められる。どうしてここまで攻められる。何故負けない。何故立ち上がる。何故、何故!

「何だってんだよ…!何なんだよてめえはあぁぁぁぁっ!」

ザッ――

ザッ――

「一度ぶちのめせば立ち上がる!二度叩き潰せば起き上がる!三度ぶっ飛ばされても戦うてめえは、何なんだ小僧おぉぉぉぉっ!」

ザッ……

足音が止まる。ファフニールの前に立つのは一人の男性。拳を炎で赤く染め、篭手を緋色に焼く紅蓮の鬼。

「何度も言わせるんじゃねぇよ…ロア・ヴェスティージだ。紅蓮の破壊者、管理局の赤い鬼。いい加減…俺の名前を呼べよ、ファフニール…」

「何…?」

「てめえはそうだ。初めて会った時から俺をガキ呼ばわりしやがって…!」

ギシ、と唸る拳が力強く握り締められる。

「いつになればてめえは俺の名前を呼ぶ!俺は、お前の敵だろうが!俺の拳じゃ満足いかねぇのかよ!俺がぶちのめすのがそんなに気にくわねえのか!俺の炎じゃ足りねえか!俺に何が足りねえ!」

いつだって見下されてきた。名前を呼ばす子供扱い。拳をぶつけ合い、血反吐吐きながら殴り合っても未だにファフニールはロアの名前を呼ばない。

ただ呼んで欲しい。

宿敵として、

拳を交わす戦友として、

認めてもらいたい。

ロア・ヴェスティージを。

自分の名前を。

呼んで欲しい。

たった一言だけでいい。


「俺がこんなに必死になってんのにてめえは気付かねえのかよ!俺はお前に認めて貰いたい!お前に名前を呼んで貰えりゃそれで満足だ!だが何故呼ばねえ!ロアと!ロア・ヴェスティージと俺の名前を呼ばねえんだよてめえはぁ!」

なまえをよんで。

それは、とても簡単な事

だが、何よりも難しい事

二人はまだ、それが出来ない。

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あきゅろす。
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