魔法少女リリカルなのはLOST Battle
六ページ
クルヴィスが槍を落とす。カラカラと音を立てて、武器を手放した。
《貴様を片付け、ナンバーズを排除した俺が地上本部を破壊する!俺の破壊はエースオブエースだろうと不可能なのだ!》
「あぁ…全くだ…」
だがクルヴィスは笑っている。諦めたように、清々しい笑顔。
《残念だったな、俺達の勝利は揺るがない!》
高らかに宣言しながらブレイドが剣を振り上げ、クルヴィスに振り下ろそうとする。
《三流。遺言は聞いてやろう》
「あぁ……なら最後に一言」
口の端を釣り上げ、してやったりな悪ガキの笑みに変わった。
「ざまあみろ」
《ふん、負け惜しみ、を…!?》
ギシリ、とブレイドの動きが鈍くなる。歯車が止まったように、剣を振り上げた体勢から身動き一つしなくなった。
《な、に…!?なんだ…何が起きた…!何が!》
「何が?あぁ教えてやるよ。クルヴィスお兄さんの魔力講座〜」
槍を拾い、担いで指を突き付けたまま口を開く。
「魔力っていうのは形も大きさも自在に変えられる。硬くしてシールド、射撃に使ったり、自分自身の強化に使ったりとね。だから俺はお前の吸収した魔力を固めただけだ」
《貴様の……!?》
全身に突き刺された槍。実体を持った幻術。高密度に圧縮されたクルヴィスの魔力を直接ブレイドは吸収していた。
《まさか…!》
「イエス。お前は最強さ。だが、内側から魔力を爆発させたら粉微塵に消し飛ぶだろう?なんせ内部が魔力の塊だからね」
《貴様!》
「吠え面かきやがれ」
《作戦が無いと言うのは嘘か!》
「あれ?言わなかったっけブレイド?」
背中を向けて離れて行く中、見下す様な、嘲る様な笑みを見せる。まるで道化師の仮面の如く。
「クルヴィスお兄さん、大嘘つきだってさ♪」
《貴様!貴様!柳クルヴィスウゥゥゥゥゥッ!!!!!!》
「これぞ奥義…幻槍郷ってな。楽しかったかい?我が夢幻が織り成す無限の世界は」
《オオオオオオオオオッ!!?》
内部から溢れだす魔力が装甲を内側から破壊していく。膨れ上がっていく体は徐々に限界を訴えてひび割れていき、
《俺は!俺は最強のデバイスだぞ!エースオブエースを落とした、最強のブレイド!それが、何故ぇ!何故貴様の様な三流にぃ!?》
「口先だけは超一流、トリックスターにケンカ売ったのがお前の敗因だ。じゃあな欠陥商品」
《柳クルヴィスゥゥゥッ!!?》
やがて、破裂した。体の内側から爆発する魔力に耐え切れず、文字通り消滅して消えた。
最強の名を欲しいままに振るった残虐な深紅のデバイスが。
「最強ってのは…ファルド一佐みたいな人を言うんだよ。覚えておきな、嘘じゃ……ねぇから…」
クルヴィスもまた、力尽きたように崩れ落ちる。
「…あぁ…くそ…」
見上げた空が青い。手を伸ばせば届きそうな位に近く感じる。
「…今日も……空は青いなぁ…」
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