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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
一ページ
 帰って来たヴィータは玄関先で騎士甲冑から茶色の制服に変わる。
右手には『鉄の伯爵』を冠する相棒のグラーフアイゼンが未だに武器として残っている事に気付き、そちらも待機形態に戻した。

ミニチュアのアイゼンを首からぶら下げてロビーに入る。

「ただいまー…は、おかしいな」
「ん、お帰り。ヴィータ」
 何となく言ってみた一言に言葉を返されたので辺りを見渡すと、ロビー端のソファーではやてがくつろいでいる。

小走りに主の元へ行くと、テーブルの上に書類が投げ出されてあった。

「はやて、何してたんだ?」
「ん?ちょっと、な……心強い仲間を呼ぼうかと悩んでいたんよ」
へー。と相槌を打ち、テーブルの上でぞんざいな扱いをされている紙に手を伸ばすが、はやてに取り上げられる。

「駄目やで、ヴィータ?これは大事な書類なんやから」
「いーじゃん、見せてくれよはやて〜〜」
「せやから駄目やってー。そんな見上げる様に見たって見せへんよ」
「はやてのケチー」
「ヴィータは欲張りさんやないか。晩ご飯かてなのはちゃんの分も食べたやろ?」
「あぅ……あれははやてのご飯が美味しいのが悪いんだ」

しばらくそんな他愛ない日常的な会話を繰り返していると、ヴィータの表情が曇っていった。

「……はやて、ゴメン。また逃がした」
謝罪する小さな騎士の頭を撫でながら微笑みかける。昔から何も変わらない。

「謝らんでええよ。一人でよう頑張ったなぁ。ヴィータはやっぱりえらい子や♪」
頬を赤くしながらヴィータが困った様な笑顔をはやてに向けた。

「子供扱いしないでくれよはやて……」
「あはは、ごめんな。それよりヴィータ、汗かいてるやろ?お風呂入ってきたらどうや」
「うん。そうする」
素直に頷くと奥の廊下へ去っていくのを確認した部隊長は取り上げていた書類を下ろし、テーブルに並べる。


全部で八枚。顔写真は女ばかりの『心強い仲間』になりうる少女達を見つめ、長い事悩んでいた。
自分の独断で行くならば問題ない。説得する方法も考えてある。

だが…………


「……なのはちゃんとフェイトちゃんはどう思うか、やな……」
書類と睨めっこしているのには、そんな理由があった。

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あきゅろす。
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