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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
八ページ

「あ、あんな奴…爆発したらどれだけ…」

規模は計り知れない。そんな爆発に耐えられる程今の自分達に余力も残ってはいない。

《ふ...クク...ははHA...はハHAはハははHAHAHA!!》

壊れている。盲信的なまでに狂ったプログラムが笑い出した。ISテンプレートの輝きが取り戻されていく。


「誰か…!」

「無理ッス…あんなの…!!」

「ここで…終わりたくなんかない…」
スバルは動きたかった。今すぐバスターを阻止して生き延びたいと願った。

(助けて…!ティア!なのはさん…!)
涙をこらえ、目を閉じてただ祈る。誰でもいい。

「助けて…!ライダー!!」

《…オーケー、任せろスバル!》

『!?』
ソニックウインドが勝手に起動する。目の前に現れたのは一台のバイク。

《ここで走るのを止めるか?速いのはいいが、諦めは遅い方が俺好みだ》
可変する。人の形へと、かつて拳を交わし全力で戦った風の様な疾駆者へと。

「ライ…ダー…!? ど、どうして…」
《俺を治した、物好きが居たようでな》

「ぁ……」

最終決戦を前にした機動六課に告げられた一言。


『一度全員のデバイス、武装をお借りします。最終調整しておきますので』

「クルヴィスさん…?」
《あのままずっとお前の傍で共に走って貰いたかったが…》

《Rider》

《マッハキャリバー。どうやら俺はスバルの傍にいれんらしい》

《...Sorry》

《気にするな》
紫紺色のテンプレートが輝く。

《後始末ぐらい着けてやる》

「ライダー待って!」

《残念だが止まれないな。だがスバル、忘れるな》
バスターの魔力吸収が止まった。


《俺はお前と共にある、そう!》

爆発する発射音、見慣れた異常な速度の体当たりがバスターの体を押していく。車輪が空回りするがそれも一瞬だけ。ギアを上げて遠ざかっていく中で、最期の言葉を聞いた。




《この一陣の風の様に!マッハキャリバーの走る空と共に!》

彼に出来る事は走る事。

風となり、空を駆ける。

例え、羽ばたく翼が無くても。

走る事は、出来るのだから――



 ただ車輪が回転する。地面を滑り、巨体を押す。前へ前へと、人気の無い廃墟を進む。

《…例え俺の全てが作り物であろうとも》
バスターの体から光が溢れ始める。白く染まる世界の中で笑った。



《人を好きになる心だけは、本物だ》


――スバル……愛している。

 それは、彼が最期に言いたかった言葉だった……。




 遥か彼方、まだ整理の終わっていない廃墟の街がその日クラナガンの地図から文字通り消し飛んだ。


二体のデバイスと共に。



「……助かった…のか」
「冷や汗ものだった…」

「……ハチマキ?」

「……うん。忘れない…絶対に」
スバルは泣いて、胸に抱き締めた。ずっと一緒だ。もう諦める事はしない。怖い思いをしてもきっと平気だ。


「ずっと……走るよ、ライダー」

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あきゅろす。
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