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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
七ページ
圧倒的な閃光が街を越えて突き抜けていった。放熱する為に開いた最後部から排気された煙が静かに風で流される。

 直線的に地面を削り込んだ跡が刻まれていた。そこに残っている障害物は全身の装甲が剥がれ、煙を上げて崩れ落ちる難攻不落の動く砲台、バスターだけ。

瓦礫を押し退けたスバルがノーヴェに手を差し出し、引き上げる。倒れたディードにオットーが駆け寄ったが、それほど酷くない怪我だった。
ウェンディは壊れ掛けた自分の武装を見てチンク達に愚痴を言っている。

「終わったのだな…これで…」
「も〜クタクタだよ〜…」
背伸びするセインに合わせ、緊張の糸が解れていった。
ディエチがイノーメスカノンを置いて座り込む。

「もう動けないよ…」
「お疲れさまですディエチ姉様」
「うん。ディードも」

「あーんアタシも頑張ってたッスよー!」
「あー…うん。お疲れさまウェンディ」


.....メイン起動システム破損。サブ起動システム、損傷。起動可能プログラム検索.....結果:非常起動プログラム起動。

《..ま、DA...Oれガ..》

...駆動システム97%低下。戦闘システム89%低下。内部魔力残量6%。MCSシステム起動可能。プロテクトカートリッジ残数0。

《やルべき..koとが..残っテ.いる....》

...ISドラゴンハーツ起動可能。



「…!!?」
 その姿に戦慄が走る。背骨が凍り付く様な『恐怖』『畏怖』
戦闘機人でありながら戦う事を、初めて恐れた。

立ち上がる。軋む体の膝が持ち上げていく。切れかけたライトが光る様に剥き出しの瞳に灯りが点いていた。

『怖い』『恐い』

絶望を叩きつけられる。膝が笑い、腰が抜けた。異様な迫力に声がでない。目が離せない。反らす事が出来ない。

記憶に刻まれる『恐れ』

仁王立ちしたバスターの足元に薄くISテンプレートが発生する。背中からMCSの装置が伸びて徐々に魔力を吸収して内部魔力が満たされていった。


《み..ち連レだ...!貴様たチNAんバーズモ...!》


「自爆するつもりか…!?」


逃げなければ。逃げなければいけないのに、脚が動かない。
全力を出し切ったのもある。疲労感というのもあるが何よりも怖い。怖くて恐くて仕方ない。

その執念がその憎悪が今まで戦闘していた兵器が怪物だと認識した今、全員が逃げ出したかった。

背中を向けて、誰か助けを呼びたい。だが目を離す事が出来ない。

逃げたい恐怖。逃げられない恐怖。矛盾した二つが行動を封じていた。

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あきゅろす。
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