魔法少女リリカルなのはLOST Battle
四ページ
「やった!」
ヴィータが喜ぶが、シグナムの表情はあまり浮かない。
「よし、後はなのはちゃん達が来るまで……」
影は消えない。
クレーターから若干外れた場所から何かが飛び出して来てはやてを蹴り飛ばす。受け身を取ってその姿を見た全員が驚いた。
全身の追加装甲を全て廃棄し、千切れた赤いマフラーを着けたシャドウが立っている。
だが無事という訳ではなく特に酷いのが両足だ。所々内部の部品が見え隠れし、頭部も若干破損している。
《見事だ。しかし!》
「!?」
シャドウは遺跡への入口へ飛びながら柱を全て壊れ掛けのカゲギリで破壊する。老朽化していた上に急に凍らされた唯一の入り口に並んでいた柱が瓦礫と化して塞いでしまった。
「そんな…ここまで来て!」
はやての絶望的な悲鳴が響く。
《グッ!》
脚部の破損が酷く、シャドウは着地に失敗して暗い廊下を転がる。壁に背中を預け、崩れた入口を見た。
カゲギリで体を押し上げ、ゆっくり立ち上がる。ふと、首に巻かれたライダーの放熱コードが目についた。
《……すまない、ライダー。お前とは此処でお別れだ》
シャドウは掴んで投げ捨てると、暗く長い廊下をISテンプレートを跳ねながら先を急ぐ。
《ファルド、死ぬな…俺が行くまででいい》
口から漏れた言葉に疑問を持たず、ただ向かった。
今も尚、決戦が繰り広げられている玉座の間へ。
遺跡を揺らす様な衝撃が走り、バスターからの通信が入った。
《シャドウ…聞こえるか…》
《バスターか…》
《悪いが、本部の襲撃は失敗だ。ナンバーズ共、かなり手強くなっていたよ…》
《そう…か……》
電波が悪いのか、はたまたバスターが倒れそうなのかは分からないがかなり弱い反応をしている。
《だが、冥土の土産にコイツ等だけでも道連れにする。さらばだ、シャドウ》
通信が切られた。
《…………》
静まり返った廊下を行くシャドウの胸の内は、誰にも分からない。
少なくとも今は、誰にも知られたく無かった。
《フ、フフ……全く、お前達には驚かされる》
バスターの全身に傷が着いていた。ディエチの砲撃で破壊された右肩、チンクのナイフで削られた太もも、ウェンディ、ノーヴェ、スバルの攻撃で破損した体。
ディードの一撃で機能低下したバックパック。
今までに無い程追い込まれていたバスターだが、ナンバーズも全員疲弊していた。立ち上がる体力もほとんど残されていない。
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