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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
十ページ
「……」
 その写真を見て、何を思うのかファルドの写真を見る目は悲しそうに沈み、忘れる様に視線を液晶ディスプレイに移してキーボードを叩き続ける。
燃えて短くなった煙草を口から落とし、脚で火を踏み消して新しい煙草をくわえて着火。

「……もう、昔の事だ。全部忘れてもいいだろ…」

誰にでもない呟きは、静かに響き消えていった。









――WARS宿舎、玄関ロビー


聖王教会から帰って来たはやてとリインを出迎えたのは自分を守護する騎士達だった。

「シグナム、ヴィータ。どないしたん?」
「あぁ、はやてちゃん。おかえりなさい」
シャマルが我が子の帰りを待っていた母親のように微笑む。
掛けられた声の主に気付いた面々が振り向き、安堵の表情を浮かべる。

「無事でしたか、主はやて。怪我はありませんか?」
「…?当たり前やないか、聖王教会からの帰りやで?特に何も起きへんかったし」

「ならいーんだけど、さ…」
過保護気味に心配するシグナム。隠し事をしているように歯切れが悪いヴィータ。
いつもと違う様子の二人にはやてが眉を寄せた。

「何か……あったん?」
 何故か、胸の鼓動が早まる。
嫌な予感を警告しているのか、呼吸が辛い。


ゆっくりと、シグナムが口を開く。



「……実は、先ほど悪い情報が耳に入ったのです。主はやてが宿舎を空け、その直後に戻って来た我々だけに知らされた極秘情報なんですが……」

すまないヴィータ、続きを頼む。そう言ってシグナムは口を閉ざし、顔を俯かせた。
ヴィータに視線を移すと、いつものやんちゃな印象も強気な感じもしない。
 それどころか、出鼻を挫かれて幸先が不安そうだ。


「あの、さ…はやて。落ち着いて聞いて欲しいんだ……」
「………うん、何や?」
「何ですぅ?」
耐えられなかったのか、リインが口を挟む。
自分が罪を犯したようにヴィータが顔を反らす。







「今度は『深紅の青年』が現れたんだ。目的は判らないけど、過去遺物捜査隊を手当たり次第に潰して回っているって……」

「新しい敵、か……」
思いの他、はやての頭は冷静に働いた。
驚く守護騎士の面々を余所にこれからの対策を考える。

だが、そんなすぐに思い浮かぶ程簡単な問題ではない。

「うん、分かった。うちが何か対策考えるからまずは皆で夕飯食べよ?お腹空いてたら頭の回転も鈍くなるからなぁ」
どこからそんな自信が湧くのか判らないものの、守護騎士達は全信頼を持ってはやての言葉に頷いた。

「そうね。じゃあ、支度をしなきゃ♪」
どこか上機嫌にシャマルが手を合わせる。

しかし、シグナムとヴィータの表情に陰が差し込む。


「……シャマル。止めておけ」
「だな。アタシもそう思う。はやてが作ってくれよ」

「酷いわ皆ぁ……くすん」
「あはは……ならシャマルにはお手伝いして貰おうか」
これから起きる事件の前に、出来るだけこの時間を楽しもうと、その場に居た全員が笑い合う。


そして、フェイトとなのは、二人が戻って来たのは丁度はやて達が夕飯の準備を終わらせた頃だった。

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