[携帯モード] [URL送信]

魔法少女リリカルなのはLOST Battle
八ページ
 はやては車に乗り込みエンジンを掛けて走り出す。
宿舎に戻る道を通っている途中でフェイトからの通信が入り、運転しながら話を聞いた。



『はやて。今大丈夫かな?』
「ん、別に大丈夫やで?どないした、フェイトちゃん」

『例の…私達が追ってる青年と交戦したんだ』
「ほんまか?それで、何か分かった事ある?」
液晶ディスプレイの向こう側、バリアジャケット姿のフェイトは残念そうに首を振る。
進展無しの報告に、はやてもまた溜め息を吐いた。

『ごめんね。途中で取り逃がしちゃった……』
「気にせんでえぇよ。そんなら次、捕まえればいい話やもん。報告ありがとうな」
『うん。詳しい話はそっちでするよ。今は被害にあった人達に聞き込みしてるから、それが終わったら戻るね。それじゃ……』
吸い込まれる様に消えたディスプレイから目を離し、再び運転に集中するはやての表情は真っ直ぐ前を見ている。

「まさかフェイトちゃんが取り逃がすとは…敵さんも相当やな」
「そうですねぇ。でも、次からは皆で行くからきっと捕まえられます」
「なら、早よ戻るで。何か嫌な予感がしてきた」


アクセルをより強く踏み、更に速く走る車で急ぐ部隊長の車を監視する一人の青年がいた。
年はなのは達とほぼ同等、もしくはそれより一つ上くらいの白衣を着た青年。

「んー……ま、市街地で騒ぎ起こしちゃまずいか」
望遠鏡代わりに使っているスコープは、一丁の巨大なライフルの付属品だ。
目が痛くなる程の白銀色に染められた、十字架をモチーフとした形状をしている。

伸ばした銀髪を風で揺らしながらWARS部隊長の車を狙うものの、引き金を引く事はない。

「オーケー。女神の恋人のお仕事は終了だ。ヴァルキリー、モードリリース」

《YES.daddy》
ヴァルキリーと呼ばれた白銀の銃から女性電子音声が聞こえ、一度輝くとそこにはペンダントくらいのロザリオが現れた。

青年はそれを横から叩く様にキャッチし、立ち上がって遥か彼方へ走り去った一台の車を見送る。

「消すのは簡単さ、だけどそうじゃない。ドクターの夢を実現させるのにはまだ“手順”として生かさないとな、ヴァルキリー」
《その通りですね……》
「うし、じゃあノルドさんはお手伝いに戻りますかね」
首に十字架のペンダントをぶら下げたノルド・クラウェスはビルの屋上から去った。
誰にも知られる事なく、気付かれる事もなく。



――誰もが予想して居なかった。

時空管理局も、WARS部隊も誰一人。

既に“計画”が動き出し、地上を破滅に追い込もうとしている事に……。


博士の『飼い犬の主』も、また……この時は。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!