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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
六ページ
ファルドとロアは背中を預けた状態から一気に敵陣に駆け出した。連携の執れた、よく訓練された部隊に感じるが実際、データを共有して指令を受けているからこその動きである。
所詮機械だ。必ず穴はある。出来ない事だって。


「ロアっ!」
ファルドが一声、名前を呼ぶとそこから意思を汲み取ったのかロアがドールの群れから抜け出して空に飛んだ。それに伴い、敵の注意が上に向かう。

「合点っ!」
空中で魔力を集中させて炎に変換、それを脚に纏わせてファルド目がけてロアは飛んでくる。
それから離れる様に加速して威力の上げた斬撃でドールを切り裂く。場所を入れ換えて二人は再び戦い始めた。
間一髪のコンビネーション、一歩間違えればファルドもドールと同じように吹き飛んでいる。だがそんな失敗はしない。
 その根拠の無い自信の裏付けは、信頼だ。


長い間共に背中を預けて来た二人に言葉はいらない。互いの考えが状況に応じて手に取るように分かる。足りない部分を補い合う様に助け合いながら敵を撃破していくが、一向に減る様子がない。



「一体どれだけ居るんだか…」
ファルドが軽口を叩くが、声からして弱っている。言い終わると同時に咳き込み、吐血した。

(…時間がねえ。それに、これ以上ここで足止め食らう訳にはいかないが…この数だ)
ロアもまた、今の状況を危惧している。突破しない限り、ヴォイドを止める事も、エデンを破壊する事も叶わない。
迷っていた。囮になる事を。ファルドを先に行かせるのに不満は無い。だが、今の体で本当に一人で行かせていいものか。

(…くそったれが)
内心毒づきながらも、八つ当たり気味に手短な一体を破壊する。追い込まれる前に突破しなければ

「ロア」
「なんだ」
「…俺は大丈夫だ」
「何?」
「だから、先に行かせてくれ。この先にシャドウが居るなら尚更だ…!」
吐き出す血を拭おうともせずにファルドは続けた。

「ここで二人揃ってくたばるのは御免だ」
「……だな。なら囮は任せろ」
「あぁ、任せたぜ相棒!」

「承知したぁっ!」
ロアは遺跡の方角目がけて思い切り敵を投げつける。ドミノの様に倒れていく中をファルドは走り抜けた。それが消えた事を確認したロアがカートリッジを装填する。


「…流石に俺でもキツいぜ?この数はよ…とっとと終わらせろファルド。いつまで持つか知らねえからな」
燃える拳を握りしめて一人残された戦場を赤く照らすロア。




その爆発音を背中で聞きながらもファルドは遺跡を目指した。

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