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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
二ページ
 歯を強く食い縛り、拳を握りしめて堪えている。泣きたいはずの気持ちを精一杯抑えつけていた。背中越しでも分かる。一番辛いのはロアだ。

「とにかくこいつは安静にしとく。エデン突入はファルドが目を覚ましてからだな?」
「…うん……」
「分かった……」
「ロア……」

「…一人に、させろ」
ロアはその後黙って医務室を出ていく。暴れだしたい気分だったが我慢した。今暴れると何をするか分からない。
一人で突撃しそうなので止めた。



屋上に出て風に当たる。手すりに寄りかかり、頭の中をシャマルの言葉がよぎる。



「ふ、ざけんな…!後二年…?冗談じゃねぇぞ…!」
そんな余裕は無い。今回の戦いでファルドはその残り二年分を使い果たす。
そういう男だ。使える物は使う。はっきりした性格。

「お前は何でそうまでしたがる…!どうしてそこまで出来る…」
まだ背負っているのか。二年前の失敗を。四年前の悪夢を。
そもそも背中の傷は自分を庇う為に受けた傷だ。



「ロア……」
「…フェイト。一人にしてくれ」
「ごめん。だけど…心配だから」

「…俺は大丈夫だ」
「……そう見えないから」
風で金髪を揺らしながらフェイトはロアの隣に並ぶ。心配そうに顔を覗き込んできたので顔を背けた。

「ロアも、無理してないよね」
「どうだろな、案外誰も知らない所でファルド以上に無理してるかもよ」
「…それは、やだな」
「…冗談だ。洒落になってねえけどよ」
 静かに過ぎていく時間。フェイトはただ傍に居るだけで何も言わない。

「……ロア」
「ん?」
「ロアにとって、ファルドはどんな存在なの?」
「…………答えづらいな。実際どうなのかよく分からん」
難しい質問だった。どう答えればいいかよく分からない。

「そうだな……兄弟みたいなもんか」
「そうなんだ…」
「本当に…ずっと一緒にいたからよ。危険な任務だろうとなんだろうと…言葉にし難い」
「そっか……」
「……だからかもな…余計に辛い。はやてに当たっちまった」
「ロア」
「……」

「一番辛いの、ロアだよね…」
「……かもな。だが、甘える気はないからな?」
「ちょっと残念かも」
「とにかく、今は状況を見るしか無いだろ」
「そうだね…今はいいけどこれからどうなるんだろ」
(…もしヴォイドが目覚めるまでに遺跡に突入出来なかった場合は…絶望的だな。ファルドがあんな状態だ…フェイトに闘わせる訳にはいかねぇ…となれば、俺がやるしかないか……)

 その日入った報告では、エデン周辺で待機していた部隊はことごとく壊滅したらしい。
籠城状態で防衛部隊と弾幕が厳しく突破は困難との事だ。

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あきゅろす。
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