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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
九ページ

いや、許せない。例えどんな状況になってもそれだけは許さない。もう自分を甘やかす気は毛頭無い。時間も残されていない。

だから、最期は自分の手で全て終わらせる。

「背負い過ぎ、なんて事は無いよな。これくらいが丁度良い、そう思わないかケルベロス……」
《…………》
 長年愛用してきた左手の相方は何も答えない。主の呼び掛けにすら返事を返す事はなかった。

「……返事ぐらい、返せよ…」
《…………》
血が口の端から滴り落ちる。その体を気遣う言葉もケルベロスが答える事は無い。

既にその機能の大半はあの時無くなっている。限界のその先の魔力を制御出来たのはケルベロスが終始機能の全てを捧げていたおかげだ。ファルドを最後まで支え続け、その代償として最低限戦闘に必要な機能を残しケルベロスはデバイスとしての任を全うした。


「…何もかも無くなったな…俺に最後まで付いてきたお前も…」

小さく呟き、手すりに寄り掛かる。マルチデバイスの完成品第一号、その道程は長く何人もの犠牲と幾度となく繰り返された失敗が在って出来た。
それを完成させようとした男も…自らの父親も既にこの世界には居ない。

ファルドは静かに思い出す。管理局に牙を向け、自分自身の造り上げた狂気の作品と共に消した父親の最期の言葉を。



――やはり君は、蒼天を守る騎士に相応しい!



「……」
 もしかしたら…ファルドの果たせなかった使命を自身の命を持って成就させたかったのかもしれない。ロアも、全てを破壊する拳を発揮させる為に。


「最期の最後に、父親面か…?なぁ、ドクター……だったらアンタは俺以上に馬鹿野郎だ……」
悪態を吐かなければやっていられない。泣きそうだった。考えていたそのもしも、という答えが間違いである事を祈る。

それに答える男は、もう居ない。

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