魔法少女リリカルなのはLOST Battle
八ページ
六課の隊長室。隊員は休みだが部隊長となると話はそう上手くいかない。現在クルヴィスとはやてがデスクに向かって作業中である。
「……八神部隊長ー」
「んー?何やークルヴィス三佐」
「ファルド一佐の事どう思ってます?」
「へぇあ!?な、何やねん急にそんな!」
「何となくですが?」
「は、はぁ……」
「で、どう思ってます?」
「う〜ん…やっぱお兄さんみたいな感じ…かな?それ以外やと何か思い浮かばへんし……」
「へぇ〜〜……」
「何やその意味ありげな含み笑いは?」
「別に?」
クルヴィスはにやけた表情でまだ作業していた。
「む〜〜…めっちゃ気になるやんか…」
「いや、あの人は何処に行っても皆のお兄さんなんだなぁと思いまして。ただそんだけです」
それきり黙ってクルヴィスは手早く作業を済ましていく。表面上はいくらでも笑っていられるのがまだ救いだった。
日が暮れて来た辺りでファルドとなのはが帰って来る。それから遅れてロアとフェイトも戻って来た。全員が集まった食堂で突然クルヴィスがカメラを取り出す。
「せっかくなんで記念撮影でもしませんか♪ファルド一佐と二人きりも良し」
「ってこらクルヴィス!お前勝手に人を…」
「別にいいんじゃねーの?減るものじゃねえんだし」
「他人事だと思って言うんじゃねぇぇえっ!」
ファルドは結局ほぼ全員とペアになって写真撮影。最後は皆で仲良く記念撮影。
「クルヴィス」
「はいや?」
「何で写真なんて撮ろうとしたんだ?」
「最後になる前に、せめて残しておこうと思いましてね」
「…………」
「いつ居なくなるか分からないし、勝手に消えられても困ります」
「そうか……集合写真、出来たら渡してくれるか?」
「勿論ですよ。それじゃ」
クルヴィスと話し終えた後、屋上に向かう。海の上がよく見えるからシャドウ達の状況も分かる。
依然として動きは無い。それだけ確認出来れば充分だ。
「……」
煙草を取り出してくわえる。だが、火は点けずにそのままくわえて揺らすだけ。右手を軽く握り、ポケットからライターを取り出そうとするが指先が痺れていた。
苦々しく舌打ちすると、髪を掻いて憎らしげに空を仰ぐ。
二年前の失敗。思い出したくもない地獄の様な戦場。防衛プログラムの暴走、次元震による異空間跳躍。そんな中たった一人で残った。次々と仲間が倒れ、消えていき船も失い左腕も無くした。
償い切れない犠牲の数々を清算するためにも、今回の戦いは敗北も逃走も許されない。
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