魔法少女リリカルなのはLOST Battle
七ページ
「……ヴィヴィオ、だっけ?」
「うん。ほらヴィヴィオ、挨拶は?」
「……ありがとう」
「えっ?」
「覚えてたのか」
こんにちは、ではなくありがとう。それがヴィヴィオの言いたかった言葉。ファルドは何となく安心出来た。もう聖王とかは関係無い、普通の子供として生きていけるはず。
なら、ファルドもロアも兵器として生きる必要はどこにもなくなった。
「ファルドさん。ヴィヴィオに会った事あるの?」
「成り行きでな、仕方なく」
「助けて貰ったの」
「そうなんだ」
教会でしばらくヴィヴィオとなのはの遊ぶ姿を見ていると、シャッハが微笑みながら隣に並んでくる。切り出した話題は体の事。
「騎士カリムは心配しています」
「分かってる、痛い位にな。だけどそれでもやっぱりやらなきゃならない事なんだ。二年前と四年前の任務の決着は着ける。機動武装隊三番隊隊長として…管理局のファルド・ヴェンカーは最後の任務を終わらせる」
「最後だなんて…約束したじゃないですか」
「…守るつもりだ。二回も破ったらそれこそ泣くぞカリム」
カリムだけではなく、なのはやはやて、機動六課の為にも。
自分の居場所は何処にも無いと思っていた。だが、なのは達はそんなファルドを受け入れた。
もしかしたら誰も気付いてないのかもしれない。自分達の気持ちに。
ファルド自身も。
気付いた時はいつも手遅れ。引き返せない時に気付いてしまう。皮肉な事に。
「そういえば、クルヴィス三佐がこの前教会に来ましたよ」
「アイツが?何の用で」
「修理したルーツとロードを教会に寄付する為にです」
「…………へぇ……」
先程から視界の端に映る謎の鎧はそれだったのか、とようやくファルドは納得がいった。
夕方になるまでずっと教会でなのははヴィヴィオと遊んでいたが、そろそろ戻らないといけない。
名残惜しそうに別れを告げ、帰りもファルドの運転するバイクに二人乗りとなった。
「なのは、行くぞ」
「うん。じゃあシャッハさん、ヴィヴィオの事よろしくお願いします」
「はい。お二人も気をつけて」
「……ファルドさん」
「ん?」
その帰り道、なのはがファルドに抱きついたまま話し掛けてきた。
何だか不安そうな口振りで、何か心配なのだろうか。
「ううん、やっぱり何でもない」
「そうか」
(…聞けない、よね)
もし、捕まっていたのが自分だったら助けたのか。と、本人の口からどうなのか聞きたかったが途端に怖くなって聞けなかった。
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