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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
プロローグ

「………………」
 ファルドは屋上で風に当たっていた。夜風が程よく冷たい。フェンスに寄りかかってため息を吐き、左手を握りしめる。

「やっぱ…そうなるよな」
なのはとはやてから聞かされた話は何となく分かっていた事だった。次の戦いには参加しないで欲しい。このままおとなしくしていて貰いたい。と、それだけだ。
 もう限界の体をこれ以上壊す必要はない。後は任せればいい…なのは達なら大丈夫だ……


「人の気も知らずによく言うよな……ケルベロス…」
《…………》
何も答えない相棒に視線を落とす。黒い宝石は輝く事を忘れたのか、月明かりをも飲み込んでいた。


「………シャドウ」
水平線の先を見ると、ただ思い浮かぶのは四年前の男。そして、自らの影。

「必ず決着はつける……!」














《………》
「シャドウ、何をしてるんだ?整備は…」
《いや、別に…》
 結界内部の組織の残党…もとい、本隊は着々と決戦準備を進めていた。内部の構造は一言で言うなら遺跡と大陸が浮かんでいるだけである。周囲ではシステムを乗っ取り、人形の様に命令を聞く防衛システムが歩き回っていた。その司令塔はシャドウだ。

《レイス。結界の方は》
「順調だ問題ない。こちらからも向こうからも仕掛けるのは難しいだろうな」
《そうか…》
「……やけに人間臭くなったな」
《気にするな…バスターの修理と遺跡の内部の改造はどれぐらい進んでる》
「大体八十%ぐらいは終えてる。残るはあの男の蘇生か」

ヴォイド・ランセルグ。かつてファルドと死闘を繰り広げた呪われた騎士。現在遺跡の最深部に運ばれた生体ポッドの中で蘇生の準備が進められている。レリックを埋め込み、魔力を擬似生命力として稼働する人造魔導師として。

《……》
「どうした」
《いや、ケルベロスの記録の所為か妙に落ち着かなくてな…少し周囲の偵察をしてくる》
 シャドウはそう言うとそのまま荒れた土地を歩き出した。レイスは遺跡の地下に潜り込みノルドの手伝いを始める。



《…………》
シャドウは荒れ果てた森を歩き、かなり巨大なクレーターを見つけた。二三十メートルはある。足元をよく見ると防衛システムの破片が落ちている。

《ここは……オリジナルが戦った場所なのか…?》
データを探ると、やはりこの場所で戦っていた様だ。たった一人で生き残り、片腕を失い尚も戦い続けるファルドの姿が勝手に再生される。そうまでして戦い、何を守りたかったのか理解出来なかった。絶望的な状況でたった一人なのに戦えたのか。


《……ファルド》

結界の中から外へ向けて剣をかざす。

《必ず決着をつける…シャドウとして、ドクターの悲願を遂げさせて貰うぞ…!!》

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