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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
六ページ




「………」
《逃げ切れたようです》
「そうか…」
 一方の青年は空ではなく、枝の間をくぐり抜けるように飛んでいる。
フェイトを蹴り落とした後、木の枝に着地してそこから飛び去って逃げていた。

ケルベロスの言葉に安堵のため息を吐くが、油断する事なく逃走を続ける。
すると、青年が足を止めて長袖の左腕を押さえた。
ジャケットを捲ると、ミミズ腫れの様なアザが出来ている。

「……やってくれるな、ハラオウン執務官。こりゃ、退屈しないで済みそうだ」
 一枚上手だった金髪の管理局執務官を思い出し、呟く。

《任務を忘れずに》
「ああ。今日はこれで終わりだ」
そうして、青年は誰にも気付かれる事なく隠れ家へと戻った。






――聖王教会


 控えめな装飾がされ、陽射しの良い教会の一室に騎士カリムは羽ペンを揺らしながら書類に何かを書き込んでいる。

騎士とは言っても、とても戦うような人には見えない程穏やかな雰囲気の女性だ。

そんな彼女に通信が入る。紫の髪を短くしてあるシスターシャッハからだった。

『カリム。騎士はやてが面会に来ましたが……』
「そう。通して、シャッハ。それと、お茶を三人分よろしくね」
『はい、分かりました』
それから、間もなくしてはやてがカリムの部屋へ入ってくる。その隣に小さな相棒を連れて。


「カリム、元気にしとったか?」
「勿論。はやても元気そうね」
二人は再会するなり、お互いの近況や軽い雑談をして椅子に座る。
そこにシャッハがやってきてお茶を置いていき、去っていった。

「さぁて、と……カリム。新しい予言の事なんやけど」
「うん。ちょっと…今回は……」
曇る表情にはやては笑顔で答える。

「大丈夫や。今回のはスカリエッティよりは楽そうやし」
「はやて………ありがとう。それじゃ……」
カリムは部屋を閉め切り、真っ暗な空間にして椅子から立ち上がる。
数歩テーブルから離れ、右手を差し出す様にかざすとその上に金色に輝くカードが現れた。

そして、取り囲む様にカリムの周りに浮かぶ。
その中心の騎士の表情は凛々しく、穏やかな雰囲気を感じさせない。

「これが…新しい予言」
手元にある一枚をゆっくりと読み上げていく。


「黒き衣を纏いし青年、秩序を正す鍵と成らん。造られし人形は古き文化を持って地上を焼き払う」

その言葉を聞いたはやての顔が不安そうなものへ変わった。

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