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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
七ページ
 防御は四枚、それもかなり強力な。しかも救出するには触手の猛攻を退け、鉄壁の防御を抜かなければならない。

(ブラスターシステムなら…何とか行けるはず!)
「止めろ…!」
「えっ?」
ファルドがなのはを止める。

「お前が無理をする必要は無いんだ、なのは。俺が全ての始まりなんだ、だからこの事件は俺が終わらせる…!」

全部一人で背負い込んできた背中は傷だらけだ。一層深い傷はまだファルドの背中に残っている。

そんな傷は誰にも背負わせたくなかった。自分一人で充分だ。もう仲間が傷つく姿も、倒れる姿も見たくない。

そんな地獄を見るくらいなら自分の命を捨てる選択を取る。周りが何を言おうと知らない。それが、ファルドのたった一つの選択。

「…俺が行く…!」
「だけど、その体で…」
「気が済まないんだ…あの最低で最悪な技術者をぶん殴らないとな…!」
「ファルドさん…」

なのはが何か言い掛けたが、ファルドは無視して悪夢に立ち向かう。空を飛び、接近するも砲撃と触手の一撃ですぐに叩き落とされる。だが、それでも立ち上がる。何度落とされてもファルドは立ち上がる。

何度も何度も、何度も……それでも飛び続ける姿を見ている内になのはは眼を背けた。

痛々しくて見ていられない。並の魔導師ならとっくに意識不明の重体のはずなのに、


「ハインセルドオオォォォッ!!!!!!」

それでもファルドは飛び続ける。

たった一人を助ける為に。その少女の夢を終わらせない為に。



だが思いだけが先走り、現実は届かない。



「…っ……!く、そ…っ!」
額から血を流し、ふらつく体を無理矢理立たせて尚も立ち上がる。

「…どうして…何でファルドさんはそんなになっても…」

「言った、はずだ……海の機動六課の先輩として、陸の機動六課の後輩は見捨てる訳にはいかないんだよ…!」
 ファルドはケルベロスを三本に分けると自分の周りを囲む様に浮かし、ベルカの魔方陣を浮かばせると三角形に固定する。

「闇の書の所為ではやてはあんな奴に利用された…俺と同じだ…!だから、何がなんでも助けだす、俺はその為なら…」
 右手を突き出し、聖典を取り出す。ファルドは眼を閉じて、たった一度だけ心の中で謝った。


(…ごめんな、カリム。約束破るぞ……)

「命だって、捨ててやるさ…」
閉じられた白紙のページが開く。パラパラと捲られていき文字が浮かんでいった。

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あきゅろす。
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