魔法少女リリカルなのはLOST Battle
五ページ
だが、隙を見せれば速度で翻弄されるのが目に見えている。
(……後先考えるとまだ手の内は隠すべきだな。現時点では五分か……)
必要なのは戦闘データ。相手を倒す事ではない。
かといって現状を維持すれば増援がくる可能性もある。
「……潮時か」
呟くと同時に金色の鎌がジャケットの裾を擦っていき、青年は仕返しと言わんばかりにマントに風穴を開けた。
「一体何が目的だ!」
フェイトが憤慨した様に叫び、青年は振り降ろされる鎌を銃の下部で受け止めて外側に弾く。
「お前に話す理由はない」
返し刃で狙われる直前、十分に距離を取って更に数発魔力弾を放つが、避けられた。
高速機動に対抗するのにやはり銃は不向きだが、青年は使い続ける。
そして、十分な距離を空けて再び二人は睨み合う。フェイトはまだ余裕の色が見て取れるが、真剣そのものだ。
「ちっ……!」
一度憎らしく舌打ちをすると青年は突然デバイスをしまい、空へ飛び立つ。
だが、見逃す程フェイトは犯罪者に対して甘くない。
「逃がさない…!」
無数に空を覆う保護色の障害。見るだけで清々しくなるような青空を隠す様に頭上を塞いでいる枝の間を抜ける様に追い掛ける。
だが、視界を埋め尽くす晴れ晴れとした空に影が落ちてきた。
太陽を背にした青年がフェイトを森の中へ蹴り落とす。
どうにか反応出来たものの、衝撃を防ぎきれずそのまま再び地に足をつける。
「くっ……」
空を押さえられたフェイトが悔しそうに呻く。
奇襲に備えながら飛び立つが、周囲には誰も見当たらなかった。
「逃げた……?」
そう思い、暫く警戒したが敵意や人の気配は全くしない。
安全だと認識したフェイトは、傷ついた局員達に救助隊を呼び、その間は護衛と事件の調査をした。
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