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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
プロローグ

 ファルドは固まった。頭の中が真っ白になって何も考えられない。息子?俺が、ハインセルドの?

『意外に鈍いようだな。なら説明してあげよう。スカリエッティの母体に選ばれた私は彼の、ゆりかごの暴走を止める為にある方法を作った。それが君とロアだ…そういう意味では兄弟と言えるね』

「……俺と…ロアが?」

『考えてみたまえ。何故君はゆりかごの抑止力なのだ?どうして聖遺物を元に作られた?…ファルド。君の役目は「スカリエッティの暴走を食い止める」為だけなんだ。それが出来なかった君は所詮失敗作の役立たずさ』


スカリエッティの陰謀。

ゆりかごの起動。

その為の抑止力。

『戦闘機人…プロトゼロ?それより先に居るのさ、原初の戦闘機人、全ての始まりにおける未完成の試作品がね』

管理局の戦闘機人計画。

実行したスカリエッティ。

…人造魔導師。

『ロア・ヴェスティージ。男性体は極めて不安定でね、成功例は彼だけだよ。と言っても試作品だがね。通称戦闘機人プロトロール。完全ではなく、両手両足のみが戦闘機人の未完成品さ』

 ファルドはようやく理解した。自分の存在意義が何なのか。そして、何の為にハインセルドの元で利用され続け、膨大な能力があるのかを。

「…俺の、力は……」

『そう、世界を一度は破壊したゆりかごを落とせるだけの力。つまりファルド。君の能力はゆりかごに匹敵するんだよ。ロアと二人でね』

 暗い空間にハインセルドの壊れた笑いが響く。ファルドはただ愕然としていた。

『魔力封鎖された状況でも単独戦闘が可能な兵器、それがロア・ヴェスティージ!そして限界を超えた力で世界を破壊する兵器がファルド!君だ!』

「───」

『戦闘機人計画の始まりと人造魔導師計画の始まりが君たち二人なのさ!理解したかね?』

分かってる。そこまで説明されて理解出来ない訳がない。

『そして、その完成系がシャドウ達だ。いやはや恐ろしい物だな、肉体に縛られない魔導師の破壊力とは……』

「シャドウのスペックは俺を超える。魔力も、いずれ技術も…戦闘を重ねて学習すればアイツは」

『そう…本当の最強が完成する。その為にファルドのデータを入れたのだよ。だからもう…用済みなのさ、エースオブストライカー』

 言葉が出なかった。今まで戦ってきた自分が如何に道化だったのか。どれほど滑稽な姿だったのか。知りたくない。


『そこで終わりだ。大人しく消えたまえ』

ハインセルドは最後に告げて、モニターが消えた。


『爆発まで、残り四分』

アナウンスが虚しく響く。

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あきゅろす。
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