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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
五ページ
そこではまだ戦闘が続いていたが、あまりに一方的な戦局だった。

「おいおいおい!まさか管理局の陸士部隊ってのはこの程度か!あぁ!?」
 紅蓮のジャケットを身に纏った敵の放った回し蹴りが輸送車をひっくり返し、破壊する。
射撃魔法を物ともせず突撃し、道路ごと部隊を壊滅させる滅茶苦茶な戦い方はまさに『赤い鬼』だった。

手加減も遠慮も容赦も情けを掛けずひたすらに敵を孅滅するその男にフェイトは背後から斬り掛かる。


「ハーケン、セイバァー!!」

「あぁ?」
完全な死角からの一撃だったにも関わらず、避けられた。仰向けになった輸送車の上に立ち、仁王立ちでフェイトを見下す男。


「よぉフェイトォ!丁度雑魚相手に退屈してた所だ!お前は楽しませてくれんだろうなぁ!」

「……まさか…そんなっ…!」

フェイトは目の前の男に見覚えがある。偶然知り合い、度々話しをしていた優しい青年。

だが、あまりの豹変ぶりに同一人物と認めたくなかった。


「……ロ、ア……?」
答えは返って来ない。それが余計フェイトには辛い現実に思えた。

何故彼がそんな事をするのか理解出来なかった。

「……どうして…こんな事を!」

「どうして?んな事決まってんだろうが!俺が、お前達管理局の敵だからによぉ!!」

「っ!?」
言葉の終わりと同時に放たれた左腕の炎を避ける。かろうじて形を保っていた道路は完全に崩壊した。

足場が消え、フェイトは空でデバイスを構える。

ロアも同様に空に飛ぶが、構える事はしなかった。


「さっさと始めようじゃねえか…こっちは退屈でしょうがなかったんだからよ…!」
カートリッジを装填し、両腕に炎を纏わせるとフェイトに突きつける。

武器を向けられても戦う事が出来ない。

「ロア…!」
「来ないってんならこっちから行くぞ!アクセルクラッシャー!」
突きつけた拳の炎が打ち出され、フェイトに迫る。
大口径だが直線的な攻撃を避けるが、本当に戦う相手なのかまだ悩んでいた。


(どうして…ロアが…私と戦わないといけないの…!?)

「よそ見する余裕があるなら遠慮はしねぇぞっ!」

「…嘘っ!?」
先回りされていた事に気づかず、上空で脚に纏った炎の回し蹴りに対する反応が遅れる。

大振りな所為か避けるのは難しく無い。だが、当たればただでは済まないだろう。

「くっ…!」
しかし、当たらなくても擦るだけでもダメージを負った所を見ると生半可な一撃ではないようだ。

「避けるだけか、フェイト」
 つまらなそうにロアは呟き、カートリッジを装填する。拳を硬く握りしめるとフェイトに肉薄し、四肢を使った連続攻撃で追い詰めていく。


頭をよぎるのは、優しい笑みを浮かべる目の前の敵。
 短い時間だが、楽しかった二人だけの会話。

“もっと話していたい”

フェイトは、そう思っていた。


「……どうして……」
一際重い、デバイスが砕けそうな蹴りを防ぐとロアの動きが止まる。
両腕の炎が消え、カートリッジも弾切れなのか手首の辺りから切り離すと腰の脇に付けた予備弾倉を装着。


「…何で!」
「さっきも言ったはずだ。俺はお前の敵だってな」

「でも……!本当の…本当のロアはどっちなの!」
気づかない内に、フェイトの頬を涙が伝う。その姿を見てもロアは変わらない返事を返した。


「両方本物の“ロア・ヴェスティージ”だ。お前の前に居るのも、お前が知り合ったのも両方なぁ!」

「じゃあ……」

「分かったらさっさと続きをしようぜ……避けてばかりじゃ俺は止められないぞ!!」
カートリッジを大量に、連続で装填するとロアは特大の炎を拳に纏わせたままフェイトとの距離を詰める。


「紅蓮雪華ぁっ!!」

(私は…………)


防ごうともせず、重くのしかかる絶望にただ涙を流した。


空に焔の華が咲き、大気を震わせる紅蓮の炎が空を燃やし、辺りを粉砕した。

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あきゅろす。
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