魔法少女リリカルなのはLOST Battle
三ページ
「またあいつ等か!しかも唐突だなおい!」
「それだけ焦ってるんじゃないかな?」
ファルドとフェイトの二人は六課の出入口まで走ると、同時にジャケットを装着して空を飛ぶ。
「俺は本部側に向かう」
「私は市街に回るね」
「…無事でな」
「ファルドも」
二人が別れ、ファルドは空を跳ねる影に向かった。
襲撃は今まで以上に手早く、的確な動きで進められている。
「襲撃に慣れた物だな、あいつも……シャドウ!」
眼下では既に陸士部隊が防衛ラインを張って進行を妨げていた。ファルドは容姿の変わった影と対峙する。
《…予想より速かったな…オリジナル》
「まあな…こっちも少しは勘が戻って来たって事だ」
シャドウの姿は変わっていた。
今まで以上に強い魔力。追加された外部装甲。そして、武装。
全身にライダーの装甲を上乗せしたような姿をしている。両足の側面には車輪が付き、背中には羽根の様な鋭利な装甲が追加されていた。
「その体は…」
《ああ、ライダーの予備装甲を着けたのだ。必ず貴様等に復讐する事を誓ってな!》
「人形風情が感情を語るなぁっ!」
二つの影が空で踊る。荒々しく、強く。
漆黒の剣が二つ、鏡のような正確さで弾き合い魔力の爆発を起こしながら何度もぶつかり合う。
シャドウの動きはファルドのコピーではなく、独自の動きになっていた。
(コイツ…戦い方が変わってる…!?)
《遅いっ!》
「くっそ!」
上段からの斬り下ろしを避けた瞬間シャドウは回し蹴りでファルドを引き離し、左手から魔力弾を連射して追い討ちを掛ける。
体制を崩し、落ちながらも全て迎撃して再び上昇して反撃。
だが、残像を残してシャドウの姿が消えた。
(しまった!)
《…我がISを忘れたか…オリジナル!》
振り返り様にケルベロスを構えるが、シャドウの剣は中心から二つに別れて魔力を充填している。
「ストライクバーストォッ!」
《ゼロバーストッ!!》
二人の魔力が至近距離で押し合い、膨れ上がっていく。徐々に巨大化していった黒い魔力は反発し、爆発する。
「ち、くしょっ!!」
衝撃に負けたファルドが吹き飛んだ。シャドウは既に居ない。
共に吹き飛んだ所為で見失ったと思うが違う。
《主、上です!》
「っ!」
不可視の道を走る様にシャドウがファルド目がけて走っていた。
《おぉぉぉぉっ!!》
ギアを上げ、車輪が火花を散らすまでの速度で落下している。
その直線距離にはファルドが居た。
「くっ!」
体制を直そうにも間に合わない。シャドウの加速が着いた蹴りはファルドをそのまま地面まで吹き飛ばした。
背中から叩きつけられる衝撃に、ファルドはむせる。瓦礫だらけの場所に蹴り飛ばされ、その所為か背中の痛みにばらつきがあった。
「げほ、げほ……の野郎」
空を見上げるが、シャドウは既に地上本部に向かって走っている。追い掛けるにも間に合わないだろう。
カキィン!
近くから甲高い音が聞こえた。
「……!?」
その音につられて視線を向けると、懐かしい顔が憎らしい顔と戦っている。
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