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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
十ページ
中々出てこないのでフットワーク等をして身体を動かせる準備をする。
ようやく出てきた二人目がけてファルドは走った。

「いや〜いいもの見たね」
「後でアタシも見たいッスね」

「人の着替え覗いてるんじゃねぇぇぇぇっ!!」


『キャアァァァァァァッ!?』
問答無用で蹴り飛ばされる二人。本日二度目である。






――チンクの部屋

コンコン

「む?開いているぞ」
「入るぞー」
「ファルド殿か。どうしたのだこんな時間に」
「ああ、頼みがあってな…」
 ファルドは引きずって来たセインとウェンディを部屋に放り投げると一連の出来事を話した。

当然ながらチンクが激怒。

「お前達〜〜〜〜!」
愛用のナイフも構える姿に二人は抱き合って震える。

「ヒィィィッ!?ち、違うッスチンク姉!元々はセインが言い出したッス!」
「ウェンディだって乗り気だったじゃないかぁ!」

「うるさい!…お前達…!」
チンクがわなわなと震え、身体を捻り投げる態勢に変わった。

「姉を差し置いて何て羨ましい事をぉぉ!」
「違うだろうがぁぁぁぁぁっ!というか貴様もかあぁぁぁっ!」

バチコーン

「ぬっ!な、何故姉がはたかれる!?」
「唯一まともだと信じていた俺の期待をいい具合に無視しやがって!嫌がらせか!」

「しかしだな…」
「ていうか大体何で俺なんだよ…」
三人は顔を見合わせると、不思議そうに一言。


『だって…男性はファルド(さん・殿)だけだし』

「……………」

何故かファルドは泣きたくなってきた。

「あ、後ファルドさん今日アタシの部屋で寝るッス」
「…何で」
「だってホラ。まだディードで止まってたッスから」
「そういえばそうだったね」
「確かにな…」

「………逃げていいか?」

『駄目』
「仲良いなぁオイ!」
息がピッタリな三人に勝てるはずもなく、ファルドはウェンディの部屋に連行された。


 そして逃亡する事は許されず、終始笑顔のウェンディと部屋に放り込まれる。

「それじゃ、ごゆっくり〜」
「また明日会おうファルド殿」

「…未来永劫顔を合わせたくない」
「そんな事言わずに一緒に寝るッス〜!」

「どぐふぉ!」
ウェンディが飛び付きながらベッドに倒す。首の骨が変な曲がり方をした所為かファルドの意識は朦朧としていた。
やたら嬉しそうに頬擦りしてくるウェンディを引き離す。

「殺す気かぁ!?」
「アタシじゃ嫌ッスか……?」
「ぅぐ……」
涙目で迫るウェンディに何故か罪悪感を感じるファルド。

「あ、いや……その…強く言い過ぎた。悪いウェンディ…」
とことん女性の涙に弱いと思いながらも気がつけば頭を撫でていた。

「…ふふ〜♪」
(本当に俺って女性には甘いなぁ…)
ベッドに再び横になるとウェンディが隣に寝転ぶ。寝返りを打ち、まじまじと観察。

(……あれ…ウェンディって結構……)
「何か付いてるッスか?」
「……可愛いな」

「はへ!?な、なななな…!」
思わず口から出てしまった一言はウェンディをゆでダコにするのに十分過ぎる威力を持っていた。

「…すまん、忘れろ!」
「無理ッス…」
「口が滑ったんだ!とにかくそういう訳だからおやすみ!」
照れ隠しなのかファルドは顔を合わせないようにして目を閉じる。
 ウェンディはくっついたまま離れようとはせず、結局ファルドはいつ寝たのか分からなかった。




そんな静かな日常も終わる。

《…復讐だ。奴等に》

嵐の前は、決まって何も無いのだから――

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あきゅろす。
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