魔法少女リリカルなのはLOST Battle
八ページ
だが、エースオブストライカーの称号は伊達ではない。現に、なのはも一度落とされているのだから。
自分の持てる全てを使って勝てるかは分からない。
近接・射撃、砲撃とバランス良く揃っているファルドに勝つのは苦労するだろう。
あれほどの戦闘技術を持つ魔導師は珍しい。
「……」
だが、それは造られた命が持っていた能力だ。
ファルドという人物について考える内に気がつけば訓練場に足を運んでしまっている。
誰も居ないはずだったのが、射撃音が聞こえたので様子を見に行った。
回避トレーニングと同時にデータで造られたガジェット一型を破壊している。
「…………」
誰にも言わず、ただ一人で。ファルドは過酷なトレーニングを平気な顔でやっていた。
真剣な表情でやっている姿を見て、思わずなのはは見惚れてしまう。
「……凄い」
一流のエースをも唸らせる無駄の無い戦い方。マルチスキルを駆使して回避と攻撃を同時に行い、防御への移りも見事の一言。
なのはに気がついたのか、ファルドは訓練を中止した。
「なのは…?どうした」
息を切らしながら、制服を脱いで体を冷やす。タオルと飲み物を取って木に寄りかかって座った。
その隣になのはが座り、肩を寄せる。ファルドは驚きながらもタオルで汗を拭いた。
「ちょっと驚いちゃったな」
「なんでだよ…?」
「ファルドさんも訓練するんだなって思って…」
「そりゃあ訓練ぐらいしないと腕が落ちるし。大体、基礎的な事が出来なかったら応用が利かない」
「うーん、まあそうなんだけどね……。そういえばファルドさんの階級は?」
「ん?昔は一等空佐だったな。今となっては、どうでもいいけど」
「………はやてちゃんより高い」
「前線で無茶な任務やってきた結果だ」
当時を思い出しているのか、ファルドが自嘲気味に鼻で笑う。
「なのはは…確か一等空尉か」
「うん。本当は昇進してれば三佐なんだけどね」
「断った訳か。無理しないでいるのが一番だよなぁ、やっぱり」
「そうだけど……」
なのはが不安そうな表情をしているのに気づき、ファルドは慰める意味で頭に手を置いた。
「どうした?」
「…ファルドさんの戦い方、結構危ないから心配で…」
「……そんな事か。大丈夫、自分の出来る事と出来ない事は分かってるつもりだから無茶なんてしない」
「そうかなぁ…」
「信頼ないな俺……」
傷ついたのか、肩を落とすファルド。逆になのはが苦笑いで返し、頭に手を置いて撫でた。
「ごめんごめん…」
「撫でるな」
「あぅ…」
と、口では言うが大人しく撫でられている。
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