魔法少女リリカルなのはLOST Battle
七ページ
「……お兄ちゃん、ねぇ?」
一人残されたファルドは繰り返すように呟き、頬を掻いた。
「…妹か…悪くはないな」
等と考えながら、立ち上がる。この後の予定は既に決まっていた。ならば実行するのみ。
「……先輩として、後輩任せは格好悪いからな。先輩らしく頑張るか」
「…あれ?はやてちゃんどうしたの?顔真っ赤だけど…」
「な、何でもあらへんよ!?」
隊舎に戻ったはやての顔は赤いままで、走って部隊長室に逃げ込んだ。その様子を見ていたなのはが疑問符を上げる。
「……ファルドさんと何かあったのかな?」
夕飯から見当たらないのも気になったなのははファルドを探す事にした。食堂には居ない事が分かっているので探さない。
ファルドの自室に勝手に入るが、誰も居ないので別な場所を探す。大浴場は男湯に入る訳にもいかず捜査を断念した。
「う〜ん……」
まさかと思い、訓練場に向かおうとした矢先フェイトと曲がり角でぶつかりそうになる。
「わ!?」
「きゃ!?…なのは」
「フェイトちゃん…。?、何見てるの?」
「え……これ?」
手元を覗き込むと一枚の古びた写真を見ていた。それは、いつだったかファルドの隠れ家で拾った昔の写真。
今の様に管理局の制服を着たファルドが複数の若い局員達と笑顔で肩を組み合い、カメラに向けて指を立てている。
裏を見ると『機動武装隊集合写真』と、『ファルド・ロア…』二人の名前の後に何か続きがあるが、破れて読めない。
「…ロアさんってこの人かな?」
「うん。そうだと思う」
ファルドの隣で髪を逆立てた青年が笑っていた。
二人は仲の良い友人だと、それだけで分かる。
「フェイトちゃん、これどうしたの?」
「結構前にファルドの隠れ家で拾ったの。だけど中々返すタイミング掴めなくて…」
「そっか…フェイトちゃん、今ファルドさん探してるんだけど知らない?」
「ううん…」
「そっか〜…」
「なのは、ファルド見つけたら返しておいて貰えるかな?」
「うん、いいよ」
なのははフェイトから写真を受け取り、別れた。
受け取った写真を眺めながら廊下を歩いて外に出る。満天の星空を眺めながら隊舎の周りをぐるりと一周しようとしていた。
自分達に決して見せない笑顔。笑う事を忘れてしまったように、ファルドの笑う顔は見たことがない。
「………」
戦う事に集中して、周りを見ようとしないのが心配だった。無茶をやるんじゃないのか、と。
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